強磁性超伝導体を念頭に、密度行列くりこみ群法を用いて1次元の異方的なスピン1の近藤格子模型の種々の超伝導相関についての横磁場の強さを変化させて解析した。これまでに得られていた磁場下の相図のいくつかの領域でp波の超伝導相関が発達することを見出した。これらの結果の論文をまとめており投稿の準備を進めている。 平成29年秋には、昨年度の研究成果の一つである、二軌道ハバード模型を基礎とした有効模型における局所クーパー対による異方的d波超伝導の実現に関するレター論文をJournal of Physical Society of Japanに発表した。 また、平成29年度は当初の計画にはなかった班外協力の研究も精力的に行った。特にPr系化合物で新たに得られた強四極子秩序状態の解析を実験グループと緊密に連携し、その新奇な実現機構について提案を行い、新学術領域内でのいくつかのとピカルミーティングや研究会、3月の日本物理学会などで口頭発表を行った。具体的には、四極子のような通常のスピンとは異なる時間反転対称性をもつ自由度に対する磁場誘起の有効相互作用を導出し、ランダウ理論及び結晶場状態を考慮した平均場近似の範囲で解析を行った。その磁場勇気の相互作用によって、実験で得られている帯磁率、比熱の温度依存性及び磁場の方向異方性、磁場方向に依存する強四極子相の相図について定性的に満足できる結果を得た。平成30年4月現在、実験、及び理論の2つの論文を執筆中である。
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