インフレーション宇宙における情報量,エンタングルメントならびに量子古典転移に関する研究を行い以下の成果を得た.
(1)多体間エンタングルメントの効果:deSitter時空上での2つの検出器間のエンタングルメントは,距離がハッブル地平線長さを超えると消失することが知られていた.これはインフレーションによって大スケールの古典ゆらぎが生成されるというシナリオと整合的である.本解析では多数個(3個以上)の検出器間のエンタングルメントを評価しその結果,多体間エンタングルメントは大スケールにおいても残り得ることを示した.この結果は,原始ゆらぎの古典性についての再考察を必要とするものである.
(2)deSitter時空におけるFisher情報量:de Sitter時空上の量子場に対する古典Fisher情報量ならびに量子Fisher情報量を評価し,場の持つエンタングルメントとこれらの情報量の振る舞いの関係性を議論した.
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