研究実績の概要 |
平成29年度は、最終年度であり、これまでの研究成果を論文としてまとめることを中心に行った。まず、当初の研究計画にも記載した、複数場インフレーションモデルにおける物質等曲率ゆらぎの精密評価を行い、観測から示唆されるモデルへの制限が従来のものほど厳しくならないことを示した研究を論文として出版した。また、将来の21cm線観測による初期ゆらぎの小スケールゆらぎについての情報を用いた、複数場インフレーションモデルの峻別可能性に関する研究も論文として出版した。加えて、原始ブラックホールに関する研究論文も3本発表した。原始ブラックホールは、複数場インフレーションモデルの可能性を議論する上でも、有用な天体であると考えられている。特に、LIGOによる重力波検出を通じて、ブラックホール連星の存在が明らかとなり、その連星が原始ブラックホールである可能性に関する研究が世界中で行われている。そのような研究背景のもと、将来の重力波観測による原始ブラックホール検出の可能性に関する研究を行った。ブラックホールのスピン分布や、合体頻度の質量分布に原始ブラックホール特有の振る舞いがあることを示した。 さらに、当該の新学術領域研究の計画研究班A01, A03, B01合同研究会を主催した。核計画研究班のメンバーを中心として、30名程度の比較的小さな研究会であったが、活発な議論が行われ、班をまたいだ新たな研究計画も生まれるなど非常に有意義な会議となった。
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