研究領域 | なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 - |
研究課題/領域番号 |
16H01107
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
高田 卓 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30578109)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 黒体 / 極低温 / 発泡金属 |
研究実績の概要 |
スポンジ状の構造を持つ発泡銅に酸化銅層を析出させ、黒化処理したサンプルの極低温下における輻射率を測定した。機械式冷凍機を備えたクライオスタットのコールドヘッドに平行平板間で輸送される熱流量を直接測定する治具を設置し、10~100Kにおける黒化処理発泡銅の輻射率を計測した。直接極低温下における熱流量を測定するのは、使用を目指す衛星における極低温ラジエターの模擬するものであり、全ての波長を含む輻射熱伝達を測定する意図である。30K程度でピーク波長が長波長側にシフトすることに起因して輻射率の急激な落ち込みが見られたものの、概ね数十Kのオーダーでは高い輻射率を示すことが分かった。本実験において測定された極低温下における輻射熱伝達量はマイクロワットオーダーであり、非常にシステマチックエラーに敏感であったため、較正方法等に工夫を重ねた。しかし、サンプルを設置できる面積が小さいクライオスタットであることから改善は限定的であったため、4K2段パルス管冷凍機を備えた新たなクライオスタットを構築し計測環境の改善をおこなった。これにより、直径200mm、高さ250mmという比較的大面積の輻射伝達実験が可能になった。28年度は複数の黒化処理発泡銅を制作と測定系の組み上げが終了したが、各サンプルにつき長時間を要するため、各サンプルの比較をするに至ってはいない。また、一方で黒色塗料の磁化測定や別方式の黒体サンプルについても準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細かなトラブルのためパルス管冷凍機付きクライオスタット整備に予定よりも長い時間を必要とした。そのため、全体として予定が遅れサンプル間の比較が実現せず、1つのサンプルのシステマチックエラーを低減することに時間を費やしたことになる。しかしながら、比較するサンプル群の製作等はほぼ完了しており、大幅な遅れとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
特に今年度前半に冷凍機を用いた実験に加え、高エネルギー加速器研究機構の助けを借りたレーザーによる特定波長の吸収率測定を計画している。そうして集めたデータを今年度後半にまとめ成果発表する。
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