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2016 年度 実績報告書

陶磁器焼成技術を応用したミリ波光学素子の開発

公募研究

研究領域なぜ宇宙は加速するのか? - 徹底的究明と将来への挑戦 -
研究課題/領域番号 16H01108
研究機関核融合科学研究所

研究代表者

高山 定次  核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40435516)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード宇宙物理 / 無反射加工 / アルミナ光学素子 / マイクロ波
研究実績の概要

日本はインフレーション仮説を探索するため、チリ-アタカマ砂漠での地上実験Simons arrayと将来衛星計画LiteBIRDを推進している。この観測が目指している代表的なsingle-field slow-rollインフレーションモデルの探索に必要な観測感度を得るため、ミリ波光学素子表面の無反射加工が提案されている。本研究では、ミリ波光学素子表面に無反射加工を施すための製造手法の開発を目指している。光学素子として使われるアルミナは大変に硬く、微細加工することが困難な材料であり、加工しようとすると多大な時間を要する。そのため、実際に観測に使用される光学素子のサイズでは加工時間とコストの面で非現実的である。その問題を解決するために、加工時間を大幅に短縮し、かつ高精度な微細加工が可能な製造工程及び加熱方法の開発を進めている。
本研究では、十分に微細加工に耐えうる硬さを持ち、かつ短時間で加工が可能な適度な硬さを有するアルミナ焼結体を作成し、微細加工した後に完全焼結して緻密なアルミナ焼結体とする製造工程を考えた。これにより加工時間の大幅な短縮が期待できる。微細加工に適したアルミナ焼結体を得るための加熱工程を仮焼結とし、加工後の緻密なアルミナ焼結体を製造する工程を本焼結と呼ぶこととする。まず、微細加工に適した適度な硬さのアルミナ焼結体を得るために、仮焼結条件を探索した。そのために、Φ5cmのアルミナ成形体を本焼結温度よりも低い600℃~1200℃の範囲で仮焼結し微細加工のためのテスト試料とした。実際に加工職人に仮焼結体を支給して検討してもらった結果、1200℃で1時間保持した仮焼結体が微細加工には適しているとの結論に至った。そこで、1200℃で1時間保持のアルミナ仮焼結体に切削加工とレーザー加工の2種類で微細加工を施し、形状測定をして加工精度や欠けなどの評価を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、無反射手法の検討、無反射加工工程の確立、微細加工手法の検討、微細加工の実施及び評価、本焼結条件の確立を目指して研究を行った。その結果、無反射手法としてモスアイ加工法を選定した。無反射加工工程は、1200℃で1時間加熱したアルミナ仮焼結体が、微細加工に適した特性を有していることが確認できた。微細加工手法の検討では、アルミナ仮焼結体に切削加工とレーザー加工を実際に施して、形状測定により加工精度や欠けなどの評価を行い、問題ないことを確認した。本焼結条件の確立では、微細加工を施していないアルミナ板を本焼結して緻密なアルミナ焼結体が得られる条件を確立したが、実際に微細加工を施したアルミナでは本焼結までには至らなかったので、おおむね順調とした。

今後の研究の推進方策

今後は、微細加工を施したアルミナの本焼結、本 焼結後の微細加工形状の評価、さらにミリ波光学素子としての特性評価としてミリ波透過率測定・誘電損失測定を行う。
具体的な手法について説明する。一般的なセラミックスの焼結手法では、加熱物表面からの熱伝導により加熱物内部の温度を上げるために、加熱物が不均一な肉厚であると熱伝導に要する時間が異なる。そのため、加熱物内部の焼結挙動が不均一となり、粒成長が異なることで強度などの特性に不均一を生じたり、形状の変形をともなう。そこで、本研究では、熱伝導に頼らない加熱手法としてマイクロ波加熱を試みる。マイクロ波は材料自身が誘電損失に依存して吸収発熱するために、熱伝導に頼ることなく加熱物内部を均一に加熱できる。そのため、モスアイ構造のような肉厚が異なる形状を有していても、均一な焼結が期待できる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] カールスルーエ工科大学(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      カールスルーエ工科大学

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公開日: 2018-01-16  

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