公募研究
SPring-8のBL35XU、BL43LXUにおいてX線非弾性散乱とレーザー加熱式ダイアモンドアンビル高圧発生装置を組み合わせることで地球深部を再現した超高温高圧条件下での鉄・鉄合金（地球核の模擬物質）の音速を測定した。純鉄：200GPaを超える超高圧下で微小鉄試料からのX線非弾性散乱の取得するための最適な測定系の構築を進めた。そのシステムを用いて試料由来の非常に弱いシグナルを得られることを確認し、300GPaまでの測定に成功した。また、X線に対して透明なベリリウムガスケットを用いることでダイアモンドアンビルセルの加圧軸に対して同軸と垂直軸の2方向からのX線非弾性散乱測定を試み、試料の選択配向性と音速の関連性を明らかにした。これらは内核の異方性解明に繋がる研究成果である。酸化鉄：下部マントル条件下で音速を測定し、同条件下では下部マントル構成鉱物より速度が遅いことを明らかにした。最下部マントルで報告されている地震学的低速度域の存在は、外核との反応などによってマントル中に酸化鉄が富化されることによってもたらされる可能性を示した。鉄-珪素合金：鉄-珪素合金の音速を高温高圧下で測定した。鉄の音速-密度データと比較することで鉄中に珪素が含まれることと音速と密度の両方を減少させることが分かった。実際の地球の内核は純鉄より音速・密度共に小さいため、この差を埋めるためには珪素の存在が効果的であり、核中に含まれている軽元素の有力候補として珪素が挙げられることを示した。鉄-ニッケル合金：ニッケルが鉄中に含まれることで同じ温度圧力条件下で密度が増加し、音速が減少することを明らかにした。また、観測されている地球核の音速-密度の傾きを説明するためには内核中に化学組成のグラデーションが必要であることを示した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 20件、 招待講演 2件)
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