公募研究
昨年度に引き続き、本年度でもジャケッティング構造の2段目アンビルを用いた圧力発生に関する技術開発を行った。特にX線を透過するタイプのアンビルである、cBNアンビルとジュラルミンジャケットを組み合わせた、新型アンビルに関して技術開発を継続して行った。昨年度までに、当アンビルは160トンまでの高荷重(20 GPa程度の圧力発生)に耐えることを確認している。本年度では、SPring-8においてカンラン石試料をマントル遷移層条件下(14 GPa、800-1000℃)にてその場観察の変形実験を行った。その際に、上記の新型アンビルを用いることで、繰り返し使用における実用に耐えるかどうかの検討を行った。その結果、カンラン石(実際にはカンラン石+高圧相ワズレアイトの2相)の歪が20%に達する変形実験に成功し、なおかつその場での圧力及び応力測定にも成功した。さらには、試料から発生する微小破壊音や弾性波速度の測定にも成功した。ただし、当初目的としていたブリッジマナイトの変形実験を本研究計画において達成することはできなかった。これは、ジャケッティング構造をもつアンビルがコスト高となってしまったことに起因する。そのため、2段目アンビルの先端サイズを標準(3mm)よりも小さくし、高温下にて24 GPa程度の圧力を発生しブリッジマナイトを変形させるといった実験計画を行うことができなかった。なお本研究に関連した成果がNature Geoscience誌にて公表され(Ohuchi et al., 2017 Nature Geo.)、産経新聞、日本経済新聞、時事通信、日刊工業新聞、テレビ愛媛や愛媛新聞などによって報道されるといった大きな成果を得た。また、マントル内の地震波物性に関するレビュー論文がNature誌(Irifune & Ohuchi, 2018 Nature)掲載されるといった予想外の成果が得られた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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