研究領域 | 核-マントルの相互作用と共進化~統合的地球深部科学の創成~ |
研究課題/領域番号 |
16H01123
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
木村 純一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球内部物質循環研究分野, 分野長代理 (30241730)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マントル / 熱進化 / 化学進化 |
研究実績の概要 |
【1】地球史35億年間に噴出し,残存する玄武岩・ピクライトの既存文献を集約し,その化学組成データベースを構築した.この際,中央海嶺ソレアイト玄武岩は上部マントルの平均化学組成・条件を反映するものとし,ホットスポットアルカリ岩やピクライトはより深い(おそらく下部)マントルの情報を保持するものと仮定して分類した. 【2】データベースをもとに変質や変性作用の影響が少ない資料を選択し,その主成分・微量成分化学組成を用いてマグマの起源物質と生成条件(起源マントル物質の組成,起源マントルのポテンシャル温度,マグマ分離深度,部分融解度)を,すでに開発した計算コードOcean Basalt Simulator version 1 (OBS1)を用いて計算・解析した. 【3】解析結果をもとに,地球史35億年の上部マントルの化学進化(資源マントル・枯渇マントル・リサイクリング海洋地殻の含有率)ならびに熱進化(起源マントルのポテンシャル温度,マグマ分離深度,部分融解度)を明らかにした. 【4】Nd-Hf同位体データを追加するため,玄武岩試料の収集を実施した. 【5】富化マントル成分の成因に関する論文を国際誌に出版した.マントル熱進化に関する成果を公表するため,成果を国際誌に投稿し,受理され,現在印刷中である. また,マントルドメインの成因に関するレビュー(国内誌),変質し残った微細な太古代試料の分析を行うためのレーザーアブレーション分析光学系の開発について論文投稿し(国際誌),いずれも印刷中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とする地球史35億年間のマントル熱進化,組成進化に関するデータ収集,計算,計算結果解析,論文執筆を終了し,原稿は現在国際誌にて印刷中で,近々出版の予定である.
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今後の研究の推進方策 |
マントルの化学進化を同位体的に解明するため,岩石の同位体分析を進める.同時にマントルへの海洋プレート物質の還流を具体的に検出するため,スタグナントスラブにおける物質収支とスラブ物質の物質進化に関する検討を行い,論文化する.
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