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2016 年度 実績報告書

CMBにおける局所超低速度異常領域のグローバルマッピング

公募研究

研究領域核-マントルの相互作用と共進化~統合的地球深部科学の創成~
研究課題/領域番号 16H01124
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

大林 政行  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球深部ダイナミクス研究分野, 主任研究員 (30359179)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード核ーマントル境界 / LLSVP / D"層 / SKS-ScS / 地球・惑星内部構造
研究実績の概要

本研究の特徴は,核-マントル境界において,ScS波反射点とSKS波入射点が近い領域内にある全ての地震-観測点ペアを同時にアレイ解析の手法を使って解析することにある.そのため,2009年-2015年のマグニチュード6.0以上で震源が100kmより深い地震の震央距離およそ60~90度にあるグローバル波形データを収集した.それらをScS波反射点,SKS波入射点の場所という観点から核-マントル境界を20°×20°のブロックにグループ分けをする前処理を実施した.
その結果,ニューギニアから北東の太平洋下,ちょうど太平洋Large low-shear-velocity provinceの西端にあたる場所に反射点を持つScS波に特に顕著な走時の遅れが観測され,これらはトンガ・ケルマデックで起きた地震を日本や中国東部で観測した場合にのみに観測される特徴であることが分かった.いずれの場合もSKS波では大きな走時異常が見られず,SKS波の核入射、射出点間のScS波反射点付近における核-マントル境界直上の極めてローカルな低速度異常が原因であると考えられる.またScS波反射点がニューギニア島にかかるとScS波走時異常は見られなくなり、異常が急激に変化することが分かった.
定量的に核-マントル境界のローカルなS波速度異常を見積もるために観測S波波形からScS波,SKS波の合成波形を作成し,観測ScS波,SKS波波形とそれぞれ相関を取り、ScS波-S波,SKS波-S波走時差測定を行った.その結果 SKS波-S波走時差の異常が±2秒以内であるのに対し,ScS波-S波走時差異常は6秒を超え大きいものでは10秒ほどになることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では次のステップを踏んでCMBの局所的構造を詳査する計画である.①可能な限りの広帯域地震波形データを収集し,大量データの前処理を行い解析の準備をする.②地震波形解析によるScS波-S波およびSKS波-S波走時差測定.ScS-S,SKS-S走時異常の地域性,規模,異常振幅等を特定する.③観測された走時異常のフォワードモデリングによるCMB構造の決定.④地震波形フォワードモデリングによるCMB微細構造の決定.
段階①に関して,核-マントル境界(CMB)において,ScS波反射点とSKS波入射点が近い領域内にある地震-観測点ペアを同時にアレイ解析の手法を使って解析することため,2009年-2015年のマグニチュード6.0 以上で震源が100kmより深い地震の震央距離およそ60~90 度にあるグローバル波形データ収集を完了させた.
段階②に関してScS波に特に顕著な走時の遅れが観測されたニューギニアから北東の太平洋下にScS波反射点がある地震-観測点ペアに対して,波形相関法でScS波-S波およびSKS波-S波走時差測定を行った.
以上現在までの進捗状況は当初の計画通りである.

今後の研究の推進方策

昨年度,ニューギニアから北東の太平洋下に反射点があるScS波に顕著な正の走時異常が見られ,ScS波-S波およびSKS波-S波走時差測定を行った.今後はこの測定値を使って観測された走時異常のフォワードモデリングによる核-マントル境界構造の推定,さらにはインバージョンによる核-マントル境界構造の決定を行う.さらに解析をグローバルへと展開する.前処理によって,ScS波反射点をもとに核-マントル境界上20°×20°ブロックで分けたグループ毎にScS波およびSKS波に異常があるか否か,ある場合にはどのような異常があるかを見極める.見出された異常に応じた解析を行い、必要な場合は波形スタッキング等を施す.スタッキングに関しては予想以上に信号雑音比が小さくScS波がクリアに観測されない領域があり,データ量を増やす必要性が見られた.これまでは収集する波形データをsS波,pS波などの地表反射波とScS波がオーバーラップするのを避けるため震源が100kmより深い地震に限っていたが,S波とsS波,pS波がほぼ同時に到達するような浅い地震に対象を広げデータ収集を行い,データ量を増やす.核-マントル境界における走時異常に加え,地震波形に何らかの特徴が見られた場合,観測された波形変化を生じさせる複雑な構造を明らかにするため波形フォワードモデリングを行う.得られたモデルに対して,数値シミュレーションや化学的解釈モデルとの比較,室内実験による結果など,他の研究を含めた総合的な解釈を施す.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Mantle plumes beneath the South Pacific superswell revealed by finite frequency P tomography using regional seafloor and island data2016

    • 著者名/発表者名
      Obayashi M., J. Yoshimitsu, H. Sugioka, A. Ito, T. Isse, H. Shiobara, D. Reymond, D.Suetsugu
    • 雑誌名

      Geophysical Research Letters

      巻: 43 ページ: 11,628 11,634

    • DOI

      doi:10.1002/2016GL070793

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Unusually deep Bonin earthquake (M7.9) of May 30, 2015 near the junction of the northern and southern Bonin slabs2016

    • 著者名/発表者名
      Obayashi M., Y. Fukao and J. Yoshimitsu
    • 学会等名
      JpGU 2016
    • 発表場所
      幕張メッセ,千葉県千葉市
    • 年月日
      2016-05-24
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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