核-マントル境界において,ScS 波反射点とSKS 波入射点が近い領域内にある地震-観測点ペアを同時にアレイ解析の手法を使って解析した.特にトンガ・ケルマデックで起きた地震に関して日本と中国の観測点で得られたScS波に特徴的な走時の遅れが観測されたので,詳細に解析した.観測S波波形からScS波,SKS波の合成波形を伝搬経路の違いによる物理分散の補正を施すことで作成し,観測波形との相関法にてScS波-S波,SKS波-S波走時差測定方法を1997年-2014年間の19地震に適用した.その測定値はSKS-Sはほとんど走時異常がない(2秒程度)のに対しScS-Sは大きな正の走時異常(5~10秒)を示した.これはScSの核反射点に大きなS波速度異常があるがその周囲のSKSが核に入射または核から射出する点の付近ではS波速度異常がないことを表す. これらの測定値を既存の3次元S波速度をもとに有限波長効果を考慮した走時インバージョンを行い核-マントル境界のローカルなS波速度低速異常を推定した.その結果太平洋LLSVPにの西端にニューギニアから北東方向へ線状に伸びるS波低速度異常でで説明されることが分かった.その以上の特徴として:1)北東ー南西方向には長く、北西ー南東方向に狭いridge状のである,2)5%Sを超えるS波速度異常である,3)太平洋LLSVPの本体とはノーマルな領域で隔てられている,4)異常は核-マントル境界上200kmを超えては上方に伸びていない.挙げられる. 得られた速度構造をもとに地震波形を計算したところ、初期モデルに使用した既存モデルよりも観測波形を再現することが示された.
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