研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
16H01126
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80235267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生物機能天然中分子 / 大環状化合物 / ゴニオドミンA / ポルチミン / 高効率全合成 |
研究実績の概要 |
ゴニオドミンAの全合成研究:本年度は、これまでの合成研究で蓄積した知見を基にして、全合成に必要な3つのフラグメント(C1-C11、C12-C25、C26-C36フラグメント)をグラムスケールで供給できる合成ルートを確立した。C12-C25ビニルスズとC26-C36チオエステルをPd触媒を用いたクロスカップリングにより連結し、さらに13段階の変換を経てビニルヨージドへと誘導した後、Keckエステル化によりC1-C11カルボン酸と縮合して、ゴニオドミンAの全炭素骨格を有するエステルを合成した。続く2段階の反応でアルデヒドへと変換した後。分子内野崎-檜山-岸(NHK)反応と続く酸化によりマクロラクトン骨格の構築に成功した。さらに、2段階の反応によりBC環スピロアセタール骨格の精製を確認している。
ポルチミンの全合成研究:本年度は、モデル化合物を用いたシクロヘキセン環部位の立体選択的な合成法の確立とStille型カップリングによるC4-C5位の連結に取り組んだ。光学活性なHajos-Parrish型ケトンを出発物質として、立体選択的な1,4還元によりtrans-ヒドロインダン骨格を構築した後、Stilleカップリングを鍵工程とした5段階で、5員環上にα-ヒドロキシケトン構造を導入した。次いで、Rubottom酸化を含む7段階の変換によりカルボン酸とし、酸塩化物へと誘導した。また、スパルテインを用いた立体選択的スタニル化によりα-アセトキシスズ化合物を調製し、上記の酸塩化物とCu(I)塩触媒を用いたStille型カップリングを行うことにより、α-アセトキシケトン構造を持つカップリング体を高収率で得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゴニオドミンAの合成研究については、全合成に必要なフラグメントのグラムスケールでの合成法を確立し、さらにフラグメントを順次連結し、分子内NHK反応によりマクロラクトン骨格の構築に成功した。 ポルチミンの合成研究に関しては、酸塩化物とα-アセトキシスズ化合物のCu(I)触媒によるStille型カップリングが、複雑な基質に適用可能であることを実証し、ポルチミンのモデルフラグメントの合成に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ゴニオドミンAに関しては、全合成における最大の難関と考えられるBC環部スピロアセタール構造の構築について詳細に検討を行い、全合成を達成する。 ポルチミンにつては、より官能基化されたα-アセトキシスズ化合物を合成し、Stille型カップリングを行うことにより、全合成に必要なフラグメントを合成する。
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