公募研究
本研究課題では、二量体型生物機能中分子アルカロイドの収束的合成実現のため、単量体の合成終盤での画期的なカップリング反応の開発と、従来の多段階合成の合成設計を根本から変革する、合成終盤での酸化的修飾法の開発と全合成への応用に取り組んでいる。本年度は、二量体型ピロロインドールアルカロイド、(+)-ペスタラジンBの収束的全合成を達成した。ペスタラジンBは、立体的に混んだピロロインドール3a位とインドールN1’位で連結した特異な構造を有する二量体型中分子アルカロイドである。一般に、インドールの窒素原子は、その孤立電子対が芳香環に非局在化しているため求核性に乏しく、無置換のインドールと求電子剤との反応はC3位で優先的に進行する。そのためインドールN1’位で選択的に結合形成を行う手法は、強塩基を使用するただ一例にとどまる。しかし、本手法では強塩基を必要とするため、単純な基質に限られるなど、基質一般性に課題を有している。本研究では、当研究室で見出した銀試薬AgNTf2の高い反応性を利用し、連続反応によるピロロインドールC3a位への新規インドール導入法を開発した。本手法は、ピロロインドール骨格を持つ複雑な基質においても適用可能であり、その後の変換により(+)-ペスタラジンBの全合成を達成した。ボカンジミンの合成研究においては、その単量体であり、重要な合成中間体となりうるデオキソアポディンの不斉全合成を達成した。本合成では、独自に開発したアミンの酸化反応を合成終盤に適用し、市販のアミノアルコールから10工程での全合成経路を確立した。本合成の総工程数は、既存の合成 (総工程数:22-24段階)の半分以下になっており、効率的な合成経路と言える。このように単量体の量的供給を確立したので、今後の二量体型中分子アルカロイド、ボカンジミンの合成研究への展開が期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
東北大学大学院薬学研究科医薬製造化学分野http://www.pharm.tohoku.ac.jp/~seizou/index.html
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