研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
16H01129
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
網井 秀樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00284084)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 反応集積化 / フッ素 / カルボアニオン / ラジカル / フローマイクロリアクター / 中分子 |
研究実績の概要 |
有機フッ素化合物は、フッ素原子が醸し出す特異な性質により、医薬・農薬、並びに液晶等の機能性材料として注目を浴びている。例えば、フッ素原子の電気陰性度の大きさ(電子的効果)や炭素―フッ素結合の強さから、フッ素を含まない系と比較した場合の生物活性の飛躍的向上、代謝の阻害、材料としての強度増加などの様々な機能が期待できる。トリフルオロメチル基などの含フッ素官能基の有機化合物への導入は、有機フッ素化合物合成における基幹技術である。特に、「求核的、およびラジカル的含フッ素官能基導入反応」は、合成化学的に汎用性が高いため、多岐に渡るフッ素化合物の合成に対し強力な手法である。しかしながら、有機フッ素化学の分野では、「含フッ素アルキル基の求核的導入」が多くの問題を抱えていることが知られている。これは、含フッ素アルキルカルバニオン種の化学的性質に起因するものである。特に、α位にフッ素を有するカルバニオン種は、発生が困難であり、不安定である。フッ素系中分子化合物の高選択的合成と新機能開発を目指して,含フッ素カルバニオン種,ラジカル種の反応を調査した。α-フルオロベンジルアニオン種と塩化トリメチルシリルとの反応によりα-フルオロベンジルシランの合成を試みたところ,過剰量のLTMP塩基とMe3SiClを使用した場合にビスシリル体が良好な収率で得られた。生成物のビスシリル体のジアニオン等価体としての可能性を探索している。さらに、集積型精密反応制御法を活用して,β-位にフッ素を有するカルバニオン種の非破壊的的発生と,種々の求電子剤との反応に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
α-フルオロベンジルアニオン種の反応で、新しい知見が得られた。これらは、フルオロアルキル基の新しい導入法の一種であるため、本研究目的に沿って研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
多様なフルオロアルキル基の導入が望まれるため,今後はマイクロフロー法による効率的なフルオロアルキル化反応の利用を積極的に検討する。
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