研究領域 | 反応集積化が導く中分子戦略:高次生物機能分子の創製 |
研究課題/領域番号 |
16H01140
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山口 潤一郎 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (00529026)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | アリールピリジン / 環変換反応 / ケミカルライゲーション / チオペプチド抗生物質 / 付加環化反応 / クロスカップリング |
研究実績の概要 |
本研究では、中分子化合物である複雑チオペプチド抗生物質の多様性合成を目指し、新規カップリング反応/環変換反応によるトリアリールピリジンの迅速合成と、2つの化学ライゲーション法を駆使したペプチド結合形成法を確立する。核となるトリアリールピリジン合成法は準備研究により見出しており、本研究課題で改良化を行うことで、多種類のトリアリールピリジンを合成可能である。 本年度は中心骨格であるトリアリールピリジン合成法の応用として、5つの異なるアリール基を有するペンタアリールピリジンの合成を行った。すでに脱カルボニル型カップリングにより多様に合成可能なジアリールオキサゾールをクロロ化した、化合物に対して、ケイ皮酸誘導体を作用させることで、ノシヘプチドなど多くのチオペプチド抗生物質にみられる、5-ヒドロキシ-2,3-6-トリアリールピリジン構造を合成した。導入したヒドロキシ基を足がかりとして、テトラアリールピリジンおよびペンタアリールピリジンの多様合成法を確立した。 また、チオペプチド抗生物質のペプチド部位と、トリアリールピリジン部位の結合形成を容易に行う、2つの化学ライゲーション法を検討した。その結果、ネイティブケミカルライゲーション(NCL)法によるビスチオエステルとシステインから誘導したモデル化合物からの環状ペプチドの合成に成功した。 さらに、カップリング/環変換反応という多アリール化芳香族化合物の合成法を拡張し、様々な多アリール化アセン類の合成と経てロールの合成にも成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに合成ターゲットとしているチオペプチド抗生物質の主骨格およびペプチド部位の合成は完了した。また、その合成から派生したカップリング/環変換反応を用いて、ペンタアリールピリジンに加えて、様々な多アリール化アセン類の合成と経てロールの合成にも成功している。このように、目的の計画に加えて、そこから派生した研究に関しても多くの結果を上げており、当初の計画以上に研究は進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
主骨格である5-ヒドロキシトリアリールピリジンの収率および選択性の向上を狙う。また、ケミカルライゲーション法をさらにモデル化合物で検討し、目的のチオペプチド合成物質の合成に着手する予定である。
|