生物活性ステロイドならびにテルペンの創製研究:独自に開発した触媒的多連続反応や環化付加反応を利用し、特異な活性を示す生物活性天然物(エキノシジンD,シナンスレノールA,クレプトプレウリンなど)、ならびにステロイド類縁体の合成に成功した。また、それらの生物活性を評価し、中分子としての利用価値を明らかにした。特にビタミンD3受容体アンタゴニストでは小員環を導入することで副作用の乖離に成功した(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2017)。分子骨格の構築には光フロー反応を活用し、物質生産性を向上することに成功した。 連続反応による新奇ナノグラフェンの合成と機能評価:当初計画遂行中に見出した新規ドミノ反応を利用し、非ベンゼノイド型多環芳香族炭化水素の合成を行った。フルオランテンやアズレンを構造中に含む新規中分子芳香族炭化水素の合成法を明確にし、外部刺激に応答し色調変化や蛍光を示すことを見出した(Org. Lett. 2017)。また、含窒素基質を用い、トリベンゾカルバゾールの新規合成法を明らかにするとともに、合成品の溶液蛍光、固体蛍光を評価した。さらに、これらの構造をモチーフとした中分子化合物に拡張することに成功し、新規ナノグラフェンの合成基盤を確立した。 イナミドを利用したアルカロイド骨格の合成:分子内にイナミドと求核性複素環を有する基質に酸触媒を添加することで、種々の骨格を有する複素環の合成に成功した。
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