公募研究
本研究では,モンゴルの年縞湖成層(シネフダグ層)のコア試料を対象に,蛍光顕微鏡による年縞ラミナ画像の解析とSEM-EDXによる微小領域化学組成分析を併せて行い,白亜紀中期(1億2千万年前)における年縞層厚変動や季節変動因子の抽出を行った.そしてラミナ自動トレースプログラムを用いて1090年区間分の夏季強度および年間降水量の変動を定量的に復元した.復元した夏季強度および年間降水量の変動を周期解析した結果,夏季強度が約11年,40年,90~120年,220年,360~400年という,現在の太陽黒点変動および過去の14C変動から推定されている太陽活動の変動と類似した周期で変動していることが明らかになった.さらにXGT(X線顕微鏡)分析を約2万年区間で行い,降水量因子の変動を周期解析した結果,約400年,約1400年および約4000年という長周期変動をしていることが明らかになった.今後は第四紀研究の結果と比較検討を行うことにより,太陽活動の活発期・静穏期において季節変動,降水量変動がどのように反応しているのかを検証し,太陽活動変動がどのように白亜紀の気候変動に影響しているかの解明を試みる.本研究成果は日本地球惑星科学連合2016年大会および第2回地球環境史学会で招待講演として口頭発表し,国際学会Goldschmidt2016でポスター発表した.また現在1編の筆頭著者論文と3編の共著論文が国際誌で査読中であるほか,2編の筆頭著者論文として国際誌に投稿準備中である.
2: おおむね順調に進展している
蛍光顕微鏡による年縞ラミナ画像の解析とSEM-EDXによる微小領域化学組成分析,そしてラミナ自動トレースプログラムを用いてを併せて行うことにより,白亜紀中期(1億2千万年前)における1090年区間分の夏季強度および年間降水量の変動を定量的に復元することに成功した.復元した夏季強度および年間降水量の変動を周期解析した結果,夏季強度が約11年,40年,90~120年,220年,360~400年という,現在の太陽黒点変動および過去の14C変動から推定されている太陽活動の変動と類似した周期で変動していることが明らかになった.今後はこれらの成果を順次国際誌に公表していく.
次年度には,コア試料を用いてより長い区間に対してXGT(X線顕微鏡@高知大学)分析を行い,より長周期(数百年~数千年スケール)の卓越周期成分を解析する.そして,年縞ラミナ解析により明らかになった十年~百年規模の卓越周期変動と共に,太陽活動の活発期・静穏期においてアジア中緯度域の気候がどのように応答していたのかを検証する.得られた成果は順次国際誌論文として執筆・投稿する.
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)