研究実績の概要 |
WDR45異常症(SENDA)患者から樹立したiPS細胞からの神経細胞などへの安定的かつ効率的分化誘導方法の確立を試みているが、分化後の均一な細胞が得られていない。この点に関してはこれまでとは異なる手法を検討する必要がある。 線維芽細胞で代用した同様の解析を進めることでも新しい知見が偉ることが考えられるため、分化誘導の進行具合によっては手法を見直す。 患者剖検脳検体から脳領域(黒質、淡蒼球、前頭皮質、視床、小脳)別に抽出したRNAやタンパクを利用してオートファジー関連分子の発現解析を実施した。WIPI-4及びそのアイソフォームであるWIPI-1,2,3のRNA発現をqRT-PCRにて測定し、どの領域においてもWIPI-2についでWIPI-4の発現は優位であることが判明した。実際に病変が強いと考えられる黒質や淡蒼球において、その優位性の変化は確認されなかった。しかしながら基質であるp62は黒質や淡蒼球では優位に増加しており、オートファジー活性に影響が生じていることが示唆された。タンパク質における解析ではWIPI-4抗体での検出ができず、発現の確認ができていない。剖検脳のためタンパク変性の影響や抗体の性質による影響が考えられる。今後有効な抗体が必要である。脳組織検体での免疫染色も実施し、オートファジー活性への影響が示唆されている。これらの検討はこれまでのオートファジー研究あるいは病態解析においては実施されていない新規のものであり、今後の研究展開のための重要な知見の基盤となっている。
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