公募研究
ユビキチン様タンパク質Atg8(autophagy-related 8)は細胞内分解システムであるオートファジーに必須なタンパク質であり、オートファジーを担う中心的なオルガネラであるオートファゴソーム(AP)の形成に機能している。オートファジーのシステムは真核生物に広く保存されているが、申請者は分子生物学的・遺伝学的に多くの知見が蓄積されている出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いてAP形成の根本となる分子機構の解明を進めている。Atg8は合成された後、Atg8のC末端の切断を担うペプチダーゼ/アミダーゼであるAtg4によって切断を受け、グリシンが露出したAtg8G116となる。Atg8G116はユビキチン様タンパク質修飾システムを介してリン脂質phosphatidylethanolamine(PE)と共有結合しAtg8-PEとなる。Atg8-PEは再びAtg4による切断を受けAtg8G116となって再利用される。このように、Atg4は二段階の切断を介してAP形成に関わっている。APは中間構造体である隔離膜が伸展することにより形成される。最近になって、我々は自身の開発した隔離膜可視化法を使用して、隔離膜伸展にAtg4によるAtg8-PEの切断が必要であるという結果を得た(Hirata et al., 2017)。平成29年度は、哺乳動物細胞Atg8-PEを切断することが知られているRavZタンパク質を出芽酵母内で発現させ、RavZタンパク質が出芽酵母Atg8-PEを切断しオートファジーを阻害することを明らかにした(未発表データ)。現在Atg4の活性中心変異体とRavZの融合タンパク質を作製し、Atg8-PE切断の制御機構を解析している。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Autophagy
巻: 13 ページ: 2104~2110
10.1080/15548627.2017.1384888
PLOS ONE
巻: 12 ページ: e0181047
10.1371/journal.pone.0181047
Mol. Biol. Cell
巻: 28 ページ: 3415~3427
10.1091/mbc.E17-04-0216
http://ps.k.u-tokyo.ac.jp