公募研究
オートファジーは栄養飢餓などにより誘導され、その制御の中心を担っているのがTORC1である。しかし、その上流でどのような分子機構が機能しているかは未知な部分が多い。我々は酵母細胞においてゲノムワイドなスクリーニングをすることにより、オートファジーが正常に誘導されるが、その終結に欠損をしめす変異体の同定に成功し、その原因遺伝子をTAG1と名付けた。Tag1タンパク質は液胞膜に局在し、その全長がその機能に必要であった。しかしながらTag1はTORC1の活性調節を介して機能するわけではないことが判明した。さらに我々は、TORC1の上流で働く新規に因子Pib2の同定にも成功した。Pib2はホスファチジル3リン酸結合タンパク質であり、それにより液胞膜に局在した。Pib2はTORC1と結合し、TORC1を液胞膜上にアンカーする役割も担っていた。その結合はグルタミン存在下に増強し、またPib2を含む複合体中にラジオアイソトープでラベルしたグルタミンは結合したがロイシンは結合しなかった。これらのことからPib2複合体はグルタミンを直接感知することで、TORC1の活性を調節する役割があることが示唆された。さらに哺乳類細胞において、TORC1がRhebによる活性化される機構として、リソソームに局在するTORC1がゴルジ体に局在するRhebとの間のオルガネラ間コンタクトが重要であるという新しい概念を提唱した。実際飢餓時にオートファジーが誘導される際、リソソームとゴルジ体間のコンタクトサイトの数が変動することを証明した。
3: やや遅れている
Atg13 のリン酸化の検出法に困難があり、Tag1の機能解析がやや遅れている。
Atg13の様々なタグの付加や、リン酸化特異的抗体を使用するなど、工夫することでTag1の機能解析を推進する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Journal of Cell Science
巻: 131 ページ: jcs.208017
10.1242/jcs.208017
PLoS Genetics
巻: in press ページ: in press