オートファジーは大規模細胞内分解機構であり、主に栄養飢餓などにより誘導される。オートファジーはそもそも栄養飢餓などのストレスに対する防御としての役割をにない、すなわち、事故の分解が過剰に進行すると細胞死に直結するという矛盾を内包している。この矛盾は、細胞がオートファジーを停止する機能を有しているという仮説により昇華される。実際、酵母細胞を長期間の窒素源飢餓に曝したところ、8時間から12時間でオートファジーが停止することが明らかとなった。酵母ゲノムワイド変異株コレクションをスクリーニングすることで、このオートファジーの停止に欠損のある変異株を同定し、その責任遺伝子をTAG1と名付け、解析を行った。TAG1は液胞膜に局在するタンパク質であった。飢餓の伴いTAG1は液胞上でクラスターを形成し、それに伴いミクロオートファジーが進行して、液胞内で分解された。それと同時に転写が亢進し。Tag1タンパク質の量は適度に保たれていた。液胞内腔領域がその機能や、クラスター形成に重要であった。Tag1欠損株では、オートファジー実行分子のAtgが集合した状態、PASの形成後の分散が抑制されていた。それはPAS形成の鍵因子であるAtg13の再リン酸化が、抑圧されていることが、少なくとも1つの原因であることが明らかとなった。これらのことからTag1はAtg13のリン酸化を調節することで、オートファジー集結に関与することが明らかとなった。
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