今後の研究の推進方策 |
本年度早期に、論文再投稿の予定でありそれに伴い、計画した以下の実験を優先して検討を進める予定としている。 ATG7ApoEKOでは動脈硬化の進展と一部大動脈瘤の形成が認められた。現在、動脈瘤の進展機序は十分解明されておらず、また、有効な薬物療法は、確立されていない。そのような中、これまでで唯一ヒトの動脈瘤形成に近いモデルが、AngII誘導性大動脈瘤モデルである。そこでこのモデルに平滑筋細胞のオートファジーが関与している可能性を考え、GFP-LC3Tgマウスに浸透圧ポンプを用い、皮下よりAngII 1,000ng/kg/minを4週間持続投与する。試験中、体重測定や血圧測定などを行ったのち、大動脈の起始部から総腸骨動脈分岐部までの全動脈を抽出し、血管平滑筋細胞のオートファジー状態を観察する。もしも、大動脈瘤形成とオートファジーとの相関が認められた場合には、AngII誘導性大動脈瘤モデルにmTOR阻害薬であるrapamycinを投与し、オートファジーを誘導させた場合に、動脈瘤の発症を抑制できるかを検討する。既報ではラットの平滑筋細胞においてAngIIによりオートファジーが誘導されることが示されているが(Yu, KY et al. Basic research Cardiology 2014)、In vivo において、AngII負荷により、オートファジー不全が認められる可能性もあると考えている。その場合には、培養平滑筋細胞を用いてAngIIがオートファジーフラックスや、長寿命タンパクのタンパク分解に及ぼす効果に関して検討を行う。
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