研究実績の概要 |
ゼニゴケmicroRNAに関する研究では、CRISPR/Cas9技術により作出したmicroRNA欠失変異体のうち、杯状体形成に異常が生じるmicroRNA欠失変異体に注目し、その詳細な解析を行った。このmicroRNA欠失変異体は葉状体の成長は正常だが、野生型よりも杯状体形成頻度が低く、まれに形成される杯状体内の無性芽数も極めて少なくなる。そのため、このmicroRNAは杯状体や無性芽の形成に必須ではないが、正常な形成過程に必要な因子であると言える。野生型とmicroRNA欠失変異体のトランスクリプトーム解析を行った結果、microRNA欠失変異体では杯状体形成に関連した特異的なRNA量の変動が認められた。 シロイヌナズナTARPタンパク質に関する研究では、TARP同様のドメイン構造を有するが、これまでに解析してきたTARP1, TARP2とは異なるクレードに属するTARP4, TARP5の解析を行った。変異体の表現型解析では、tarp4/tarp5二重変異体とtarp1/tarp2二重変異体は共に矮性ではあるが、その形態は大きく異なることを明らかにした。さらにsmall RNA解析及びトランスクリプトーム解析の結果、tarp1/tarp2二重変異体で得られていたような特徴的なsmall RNA量の変化やトランスクリプトームの変化が見られなかった。そのためTARP4, TARP5はTARP1, TARP2とは異なる機能を持っていることが示唆された。
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