研究実績の概要 |
我々はシロイヌナズナの根の光屈性がオーキシン不均等勾配非依存的に誘導されることを明らかにしたが、一方でオーキシン応答転写因子 ARF7 が根の光屈性に働くことが既に報告されていた。そこでオーキシンシグナル伝達因子の根の光屈性への関与についてさらに遺伝学的解析を行った。その結果、ARF7・ARF19転写因子に加え、AXR3/IAA17 転写調節因子及び TIR1 オーキシン受容体が根の光屈性に正に働くことを明らかにした。本研究成果をまとめ、論文発表した(Kimura et al. [2018] PCP, in press)。 pin3 pin4 pin7 多重変異体及び d6pk 多重変異体は連続光照射誘導の胚軸二次正光屈性をほとんど示さないという報告がある。我々は独自に開発したチューブ法を用いて、pin3 pin4 pin7 及び d6pk0123多重変異体の表現型観察を行った。その結果、我々の観察方法においては、どちらも屈曲の抑制が観察されるものの、未だ連続光照射の胚軸二次正光屈性の反応を示すことを明らかにした。すなわち、胚軸においてもオーキシン不均等勾配非依存的な光屈性誘導機構の存在が示唆された。本研究成果をまとめ、論文発表した(Haga et al. [2018] PCP, in press)。 オーキシン不均等勾配非依存的な光屈性誘導機構を明らかにすべく、pin/d6pk の表現型を促進するエンハンサー突然変異体 6 株を選抜し、その原因遺伝子探索を進めた。その結果、3株が同じPP2C 遺伝子の変異を示した。PP2C遺伝子にT-DNAが挿入された突然変異体を収集し、シングル突然変異体における表現型解析を行った。その結果、pp2cシングル突然変異体においては、赤色光前照射の胚軸光屈性促進効果に異常が観察された。
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