①機能未知であった硫酸化ペプチドホルモンAt2g16385およびAt4g34600について光反応性ペプチドを作製し,受容体ライブラリーに対して網羅的結合実験を行った.その結果LRR型受容体キナーゼGSO1/SGN3およびGSO2に直接結合することを見いだした.ペプチド2重欠損株はカスパリー線が不連続になり,外環境からのイオン流入に異常を示した.これらの異常はペプチドの投与によって回復したことから,カスパリー線の正常な形成を担うペプチドホルモン-受容体のペアの機能を明らかにした.以上の成果を論文として公表した. ②CLEペプチド群のアミノ酸配列を改変することで,CLV3およびTDIF双方の活性を有するペプチドを見いだした.改変ペプチドはCLV1およびTDR双方の受容体に直接結合し,生体内で厳密に決められている受容体へのアフィニティーがアミノ酸改変により人工的に調節できることを示した.以上の成果を論文として公表した. ③ゼニゴケのペプチドホルモン候補遺伝子として,硫酸化チロシンを含んだ12アミノ酸残基からなるペプチドを同定した.このペプチドをコードする遺伝子はゼニゴケ頂端部で特異的に発現し,過剰発現やペプチド投与によりゼニゴケの形態形成に異常を示した.またこのペプチドに光反応基を導入し,ゼニゴケの受容体ライブラリーに対して網羅的な結合実験を行い,ペプチドを直接結合する受容体キナーゼを見いだし,ゼニゴケにおける新規ペプチドホルモン-受容体ペアを同定した.
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