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2016 年度 実績報告書

根の幹細胞再生を支える分子基盤の解明

公募研究

研究領域植物発生ロジックの多元的開拓
研究課題/領域番号 16H01243
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

高橋 直紀  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40553623)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードシロイヌナズナ / 幹細胞 / 組織再生 / 植物ホルモン
研究実績の概要

幹細胞の維持は植物の発生そのものを根源的に支える基盤として極めて重要である。そして、幹細胞の再生は、さまざまな環境下での植物の持続的な発生を可能にする上で必要不可欠な機構であることから、この一連の過程を分子レベルで理解することは重要な研究課題である。本研究では、幹細胞再生の制御機構を時空間的に理解することで、根の幹細胞再生を支える分子基盤を明らかにする。
根の幹細胞再生にはQC細胞の分裂の活性化が必要であることが知られている。そして現在までに、QC細胞の分裂の活性化には幹細胞ニッチでのブラシノステロイド(BR)受容体の発現誘導が関与することを明らかにしている。そこで、BR受容体遺伝子の発現制御機構について調べたところ、DNA損傷応答に関わるSOG1転写因子がBR受容体遺伝子の転写誘導に直接関与していることが示された。そして、sog1機能欠損変異体では、QC細胞の分裂の活性化が引き起こされないことを明らかにした。また、sog1変異体でQC細胞特異的にBR受容体遺伝子を発現させると、QC細胞の分裂が誘導されたことから、QC細胞でのBR受容体遺伝子の発現誘導が、QC細胞の分裂の活性化に必要十分であることが示唆された。
さらに、根端切除後の組織再生過程において、BRシグナルの組織特異的な活性変化が起きることを明らかにした。特に、新たに作られた幹細胞ニッチにおいてBRシグナルの活性化が起きていたことから、BRシグナルが幹細胞再生において重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、BR変異体では、根端の組織再生が正常に行われないことから、BRシグナルが新規な幹細胞ニッチの形成に必要である可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

根の幹細胞再生に時空間的なブラシノステロイドシグナルの変化が重要な役割を果たしていることを新たに見出したことから、おおむね順調に進行している。また、組織再生過程において、新規な幹細胞ニッチの形成にブラシノステロイドとの関連性が見えてきたので、今後の展開が非常に興味深くなってきている。

今後の研究の推進方策

幹細胞再生過程におけるオーキシンとBRシグナルの時空間的な活性変化を明らかにする。さらに、QC細胞分裂や組織再生に関わるERF115転写因子は、BRシグナル依存的に発現誘導されるとともに、BR受容体遺伝子の発現制御にも関与している可能性が示唆されている。そこで、BRシグナルとERF115による時空間的なフィードバック制御が、幹細胞再生に与える影響についても明らかにする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] The plant-specific CDKB1-CYCB1 complex mediates homologous recombination repair in Arabidopsis.2016

    • 著者名/発表者名
      Weimer, A.K., Biedermann, S., Harashima, H., Roodbarkelari, F., Takahashi, N., Foreman, J., Guan, Y., Pochon, G., Heese, M., Van Damme, D., Sugimoto, K., Koncz, C., Doerner, P., Umeda, M., Schnittger, A.
    • 雑誌名

      EMBO J

      巻: 35 ページ: 2068-2086

    • DOI

      10.15252/embj.201593083

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] DNA damage inhibits lateral root formation by up-regulating cytokinin biosynthesis genes in Arabidopsis thaliana.2016

    • 著者名/発表者名
      Davis, M.M., Ogita, N., Inagaki, S., Takahashi, N., Umeda, M.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 21 ページ: 1195-1208

    • DOI

      10.1111/gtc.12436

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 根端メリステムのサイズ制御機構2016

    • 著者名/発表者名
      高橋直紀、梅田正明
    • 雑誌名

      BSJ-Review

      巻: 7 ページ: 201-209

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Brassinosteroids are involved in stem cell replenishment in Arabidopsis roots under DNA damage2017

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takahashi, Masaaki Umeda
    • 学会等名
      Plant Organ Growth Symposium
    • 発表場所
      Elche, Spain
    • 年月日
      2017-03-15 – 2017-03-17
    • 国際学会
  • [学会発表] Plant Stem Cells Undergo Cell Death to Maintain Genome Integrity2016

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takahashi, Masaaki Umeda
    • 学会等名
      10th 3R Symposium
    • 発表場所
      ホテル一畑・島根県松江市
    • 年月日
      2016-11-13 – 2016-11-17
    • 国際学会
  • [学会発表] DNA damage response in Arabidopsis roots2016

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takahashi, Masaaki Umeda
    • 学会等名
      Plant Genome Stability and Change 2016
    • 発表場所
      湘南国際村センター・神奈川県横須賀市
    • 年月日
      2016-07-07 – 2016-07-10
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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