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2016 年度 実績報告書

木部道管分化をモデルとした転写因子による細胞形態形成制御機構の解明

公募研究

研究領域植物発生ロジックの多元的開拓
研究課題/領域番号 16H01247
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

小田 祥久  国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授 (30583257)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード道管 / 微小管 / 細胞壁 / ROP
研究実績の概要

木部道管の形態制御機構を明らかにするために、木部道管分化を促進する転写因子VND6の下流で発現が上昇する遺伝子群の中から表層微小管と相互作用するタンパク質を探索しました。その結果、IQDファミリーの一つであるIQD13と機能未知タンパク質の一つを見出しました。IQD13を培養細胞に発現させると表層微小管が増加しました。微小管の動態を詳しく観察すると、IQD13が結合した微小管では脱重合が阻害され、再重合が高い頻度で起こることが分かりました。このことから、IQD13が微小管を安定化することが示唆されました。一方、同定した機能未知タンパク質を発現させると表層微小管が横方向にスライドし、表層微小管の配列が乱れる様子がみられました。詳しく観察すると、これらの微小管は細胞膜から離れ、細胞質中に存在することが分かりました。このことからタンパク質は微小管と細胞膜との相互作用を阻害し、表層微小管の配列に影響することが示唆されました。この知見から、このタンパク質をCortical microtubule disordering 1 (CORD1)と名付けました。これに加え、細胞形態形成に必須な細胞骨格を制御する新規の転写ネットワークを明らかにするために、微小管およびアクチン繊維の配向に影響する転写因子の解析を進めました。これらの転写因子それぞれを培養細胞に過剰発現する細胞株を樹立し、RNAseq解析によりその下流遺伝子を調べた結果、2つの転写因子が微小管付随タンパク質やアクチン関連因子の発現を誘導することが分かりました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

道管分化において転写因子下流で微小管を制御する仕組みについて新知見が得られている。細胞骨格を制御する転写因子についても新知見がえられていることから順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

IQD13およびCORD1の機能解析、細胞骨格を制御する転写因子およびその下流遺伝子の機能解析を進める。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Microtubule-dependent targeting of the exocyst complex is necessary for xylem development in Arabidopsis2017

    • 著者名/発表者名
      Vukasinovic N, Oda Y, Pejchar P, Synek L, Pecenkov T, Rawat A, Sekeres J, Potocky M, Zarsky V
    • 雑誌名

      New Phytol

      巻: 213 ページ: 1052-1067

    • DOI

      10.1111/nph.14267

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] VND6-induced Xylem Cell Differentiation in Arabidopsis Cell Cultures2017

    • 著者名/発表者名
      Oda Y
    • 雑誌名

      Methods Mol Biol

      巻: 1544 ページ: 67-73

    • DOI

      10.1007/978-1-4939-6722-3_6

  • [学会発表] 道管において壁孔の形成を協調的に制御するROP GTPase シグナルの解析2017

    • 著者名/発表者名
      長島慶宜,福田裕穂,小田祥久
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] シロイヌナズナにおいて道管細胞の構造を制御する新規微小管局在因子の解析2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木武馬,福田裕穂,小田祥久
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 二次細胞壁のパターン形成において細胞膜ドメインの形は新規の細胞膜‐微小管付随タンパク質により制御される2017

    • 著者名/発表者名
      杉山友希,若崎眞由美,佐藤繭子,豊岡公徳,福田裕穂,小田祥久
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] Secondary cell wall patterning in metaxylem vessels2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa Oda, Yoshinobu Nagashima, Yuki Sugiyama, Takema Sasaki, Hiroo Fukuda
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Asia "Latest Advances In Plant Development and Environmental Response"
  • [学会発表] Geometry formation of the immobile plant xylem cell2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa Oda
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] シロイヌナズナにおいて細胞の形態を制御する転写因子の探索2016

    • 著者名/発表者名
      佐々木武馬, 松井南, 小田祥久
    • 学会等名
      日本植物学会第80回大会
  • [学会発表] Dissection and reconstruction of cell-wall patterning machinery2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshihisa Oda
    • 学会等名
      日本植物学会第80回大会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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