公募研究
申請者が以前開発したGluA1のCALI法は、GluA1細胞外ドメインにエピトープを持つ抗体を利用したものであり、シナプス提示されたGluA1ホモマーを特異的に機能破壊できる。本研究でもGluA1のCALI技術と同様に、シナプスに発現し機能するNMDA受容体を機能破壊するために、NMDA受容体の細胞外ドメインに対する抗体を取得し、CALIが可能なもののスクリーニングを行う。NMDA受容体はヘテロ4量体を形成しており、必ずNR1サブユニットを含む。これまでに8種のNR1のスプライスバリアントが報告されているが、マウス成体脳では主にNR1-1A/NR2A複合体が主に発現しているため、本研究ではNR1-1Aに対する抗体の取得を進めた。昨年までの研究において、内在性NMDA受容体をCALIで機能破壊出来る抗体を1クローン単離する事に成功したが、分子特異性について検討したところ、AMPA電流成分も多少減少することが分かり、完全な分子特異性を見出すことはできなかった。これを改善するには内在性分子を認識する抗体をより多く単離する事が重要と考え、抗体取得方法をペプチド免疫からDNA免疫に変更し再びモノクローナル抗体の取得を進めた。また標的分子を学習前のbasalなシナプス活動そのものに関与するGluA3に変更し、将来より多角的な研究を進めるためのツールの開発を目指した。これまでにハイブリドーマ78種類を単離し、FCM解析により78種類中25種類がnativeなGluA3分子を認識することが分かった。さらにクローニングとGluA3に対する特異性を検討し、現在までにGluA3を特異的に認識する10種類の抗体を取得することに成功している。また副産物としてGluA1-3全てを認識する抗体やGluA2-3を特異的に認識する抗体も得られており、別途研究に用いることを考えている。現在電気生理学的解析により、最も効率良くCALIが可能な抗体を同定中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Nat. Biotechnol.
巻: 35 ページ: 38-47
10.1038/nbt.3710
Sci. Rep.
巻: 7 ページ: 8471
10.1038/s41598-017-08849-3