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2016 年度 実績報告書

記憶の多様な形成と再形成を可能にするセル・アセンブリの動的変容

公募研究

研究領域多様性から明らかにする記憶ダイナミズムの共通原理
研究課題/領域番号 16H01283
研究機関同志社大学

研究代表者

櫻井 芳雄  同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (60153962)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードセル・アセンブリ / 記憶課題 / 相互相関解析 / ラット
研究実績の概要

1.ラットの記憶課題の決定:学習過程を見る複数の記憶課題について検討した。その結果、下記の記憶課題が実用的であることがわかり、今後活用していくことにした。
(1)共通の方法である基本課題として、周波数の異なる2種類の音と左右2箇所の穴との対応を記憶する条件性弁別課題を用いる。まず基本課題として音AとBを用い、音Aが提示された時は穴Lへ反応し、音Bが提示された時には穴Rへ反応することを訓練する。(2)基本課題をラットが十分習得した後、新たな周波数を持つ2種類の音(C, D)を用いた記憶課題Ⅰを訓練する。すなわち、音C → Lへ反応、音D → Rへ反応、という新たな音―場所の記憶を、3日ほどの訓練で形成できるように、音CとDの周波数の差を設定する。(3)記憶課題Ⅰを習得した後、新たな周波数を持つ2種類の音(E, F)を用いた記憶課題Ⅱを訓練する。そして、音E → Lへ反応、音F → Rへ反応、という新たな音―場所の記憶を、やはり3日ほどの訓練で形成できるように、2種類の音の周波数の差を設定する。(4)記憶課題Ⅱを習得した後、記憶課題Ⅰ(音C→Lへ反応、音D→Rへ反応)を1~2日間かけて再訓練する。
2.マルチニューロン活動の記録法の決定:前年度までに開発し改良した記録方法をさらに検討した。その結果、局所的な集団を構成する神経細胞の活動をもれなく検出し、記憶課題を学習する全プロセス(約10日間)を通じ、マルチニューロン活動を記録する方法を確立した。同時に、データの収集も開始した。
3.マルチニューロン活動の解析法の決定:これまで得られたデータについて多様な解析を試みた。その結果、ショットガン相関解析を中心とした解析法を確立した。また、セル・アセンブリを構成する神経細胞間の機能的結合の動的変化を同期発火に基づき正確に記述できる理論的モデルについても検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り複数の記憶課題を連続して学習させる方法を確立できた。またマルチニューロン活動の記録法と解析法もほぼ確立することができ、データも収集することができた。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、データの収集と解析を進める。最終的に、記憶形成過程で生じる海馬と前頭前野のセル・アセンブリの動的変化を明らかにし、記憶形成のセル・アセンブリモデルを作成する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Left-right functional asymmetry of ventral hippocampus depends on aversiveness of situations2017

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi, Y. and Sakurai, Y.
    • 雑誌名

      Behavioural Brain Research

      巻: 325 ページ: 325-333

    • DOI

      org/10.1016/j.bbr.2017.02.028

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Hippocampal-prefrontal theta phase synchrony in planning of multi-step actions based on memory retrieval2017

    • 著者名/発表者名
      Ishino, S., Takahashi, S., Ogawa, M. and Sakurai, Y.
    • 雑誌名

      European Journal of Neuroscience

      巻: 45 ページ: 1313-1324

    • DOI

      10.1111/ejn.13547

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Neural operant conditioning as a core mechanism of brain-machine interface control2016

    • 著者名/発表者名
      Sakurai, Y. and Song, K.
    • 雑誌名

      Technologies

      巻: 4 ページ: 1-12

    • DOI

      10.3390/technologies4030026

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Hippocampal-prefrontal interaction during original task learning and relearning.2016

    • 著者名/発表者名
      Machino, Y., Takahashi, S., and Sakurai, Y.
    • 学会等名
      46th Society for Neuroscience Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego(アメリカ)
    • 年月日
      2016-11-15 – 2016-11-15
    • 国際学会
  • [学会発表] Volitional modulation of neuronal activities among multiple neuron groups via neuronal operant conditioning2016

    • 著者名/発表者名
      Song, K., Takahashi, S. and Sakurai, Y.
    • 学会等名
      46th Society for Neuroscience Annual Meeting
    • 発表場所
      San Diego(アメリカ)
    • 年月日
      2016-11-14 – 2016-11-14
    • 国際学会
  • [学会発表] How can the brain encode unlimited amount of memory? - temporary cell assemblies in hippocampus2016

    • 著者名/発表者名
      Sakurai, Y, Hirokawa, J. and Manabe, H.
    • 学会等名
      31st International Congress of Psychology
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-07-26 – 2016-07-26
    • 国際学会
  • [学会発表] ラット皮質における随意的発火調節のニューロン集団間での転移2016

    • 著者名/発表者名
      宋基燦・高橋晋・櫻井芳雄
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-07-22 – 2016-07-22
  • [学会発表] ラットの海馬・前頭前野における再学習中の神経機構2016

    • 著者名/発表者名
      町野友理・高橋晋・櫻井芳雄
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-07-21 – 2016-07-21
  • [学会発表] 報酬確率学習課題中の海馬における神経表象2016

    • 著者名/発表者名
      高橋裕美・廣川純也・高橋晋・櫻井芳雄
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-07-20 – 2016-07-20
  • [備考] 同志社大学脳科学研究科神経回路情報伝達部門(櫻井ラボ)

    • URL

      https://www1.doshisha.ac.jp/~ysakurai/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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