研究領域 | 動的クロマチン構造と機能 |
研究課題/領域番号 |
16H01312
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 細胞核高次構造 / 相同組換え修復 / RAD51 / クロマチンドメイン |
研究実績の概要 |
染色体や核内蛋白質などにより構築される細胞核高次構造は、クロマチン構造を反映し、転写、修復、複製などのDNA代謝の制御に重要な役割を果たしていると考えられているが、修復と動的クロマチン構造の関連については、修復が行われる場所を含めて詳細は不明である。相同組換え修復(HR)は、DNA二本鎖切断や損傷複製フォークなど様々なゲノム損傷を正確に修復する生命維持に必須のゲノム修復機構である。我々は、HR経路で中心的役割を果たす修復蛋白質RAD51の核内動態の解析を行い、RAD51がDNA合成期に核内フォーカスを形成すること、損傷部位に集積して核内フォーカスを形成すること、さらに核内フォーカス形成にSUMO化修飾機構やヒストンH2A.Z-2などが関わることなどを明らかにしてきた。そして、過剰発現されたGFP-RAD51により可視化された束状領域は、正常状態ではRAD51が備蓄され、損傷誘導時にはRAD51が動的になるとともに損傷DNAが移動してHRが行われるHR factoryであることを見出している。 RAD51動態制御や損傷クロマチン構造変換には、SUMO化修飾機構やヒストンH2A.Z-2が関わっている可能性が予備的実験などから示されている。そこで本研究では、ゲノム修復制御における動的クロマチン構造変換の生物学的意義の解明のため、HR factoryでのSUMO化修飾を中心とした蛋白質翻訳後修飾機構とH2A.Z-2の役割を中心に検討を行う。平成28年度は、H2A.Z-2の動態制御にSUMO化修飾機構が関与していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H2A.Z-2複合体の解析やH2A.Z-2変異体を用いた紫外線マイクロ照射法などによる解析から、RAD51と同様にH2A.Z-2の動態がSUMO化修飾機構により制御されていることを明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、H2A.Z-2の動態制御に、H2A.Z-2自体かあるいは相互作用する因子がSUMO化されている可能性を検証する。さらに、損傷誘導によりRAD51が集積するHR factoryについて、その核内領域を超解像顕微鏡を用いて詳細に検討するとともに、その領域についての生化学的特徴の解析を進めることで、ゲノム修復での動的クロマチン構造変換の生物学的意義の解明に取り組む。
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