研究実績の概要 |
染色体や核内蛋白質などにより構築される細胞核高次構造は、クロマチン構造を反映し、転写、修復、複製などのDNA代謝の制御に重要な役割を果たしていると考えられているが、修復と動的クロマチン構造の関連については、修復が行われる場所を含めて詳細は不明である。相同組換え修復(HR)は、DNA二本鎖切断や損傷複製フォークなど様々なゲノム損傷を正確に修復する生命意味に必須のゲノム修復機構である。 本研究では、分子細胞生物学的手法を用いてRAD51が集積する束状核内領域がHR factoryである可能性を検証する。ついで、HR Factory構築メカニズムを解明するために、束状領域に集積しないRAD51変異体を用いたクロマチン構造関連因子を中心としたインタラクトーム解析を行う。これらの研究を通して、ゲノム修復における動的クロマチン構造の生物学的意義の解明に取り組む。 平成29年度までに、H2A,Z-2複合体の解析やH2A,Z-2変異体を用いた紫外線マイクロ照射法などによる解析からRAD51と同様にH2A,Z-2の動態がSUMO化修飾機構により制御されていること、H2A,Z-2自体がSUMO化されていることを明らかにし、論文発表した。さらに、損傷誘導によりRAD51が集積するHR Factoryについて、その核内領域を超解像顕微鏡を用いて詳細に検討するとともに、その領域について生化学的特徴の解析を進めることで、ゲノム修復での動的クロマチン構造変換の生物学的意義の解明に取み、現在論文投稿準備中である。
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