公募研究
カエル卵母細胞核内へと移植された哺乳類体細胞核は、卵由来のクロマチン結合タンパク質を取り込み、最終的に抑制遺伝子が活性される(転写のリプログラミング)。転写のリプログラミングは階層的なクロマチン構造の変化によって誘導されるのだが、核アクチンの重合化が重要な役割を果たしている可能性が示されてきた。そこで本研究では、光遺伝学の手法を用いて核アクチンの重合化を時空間特異的に制御し、核アクチンがクロマチン構造に与える影響並びにリプログラミングに果たす役割を明らかにする。核アクチンの重合化を時空間的特異的に制御するために、光遺伝学ツールの一つである「LOV(light, oxygen, voltage)ドメイン」に注目した。LOVドメインにアクチン重合化促進因子であるRac1を結合することにより、Rac1のアクチン重合化活性が阻害されるが、光刺激に応答してRac1のアクチン重合化活性が復元する。これにより、リプログラミングを受けている最中の体細胞核に、核アクチン重合化を光刺激に応じて時期特異的に誘導することに成功し、アクチン重合化促進に反応してクロマチンへの結合が変化するタンパク質群を同定した。また、アクチン重合化促進の結果、体細胞クロマチンがゲノムワイドに弛緩した状態に変化することをATAC-seqにより示した。以上の結果より、リプログラミングを受ける核においてアクチン重合化を促進すると、クロマチンリモデリングが促進され、結果として弛緩した状態のクロマチンが作り上げられること明らかにした。上記のカエル卵母細胞を用いた哺乳類体細胞核のリプログラミング系とは別に、マウス初期胚発生における核アクチン重合化の役割も調べ、核の膨化に核アクチン重合化が関与していることを明らかにした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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