公募研究
酸性スフィンゴ糖脂質、ガングリオシドは神経組織の維持や修復に関与することが分かってきたが、その分子メカニズムについては不明な点が多い。アストロサイトにおけるガングリオシド発現パターンをflow cytometerを用いて解析した結果、正常アストロサイトにおいては、ガングリオシドGD3の発現はほとんど見られなかったが、増殖因子の一つであるPDGFBを強制発現させることによりGD3の発現誘導が起こることが明らかになった。アストロサイトは炎症時においてGD3を発現することも分かっている。そこでアストロサイトにおけるGD3の意義を解析するため、上記のGD3発現誘導アストロサイトをGD3-negativeとGD3-positiveアストロサイトに分離し、これら細胞を用いて、ガングリオシドGD3によるアストロサイトのタンパク質の脂質ラフトへの局在と機能につき、EMARS(enzyme-mediated activation of radical sources)及びMS(mass spectrometry)を用いて解析を行った。EMARSでは、生きた細胞膜上に発現する分子を標的に、標的近傍 200-300 nmの範囲に存在する分子をラベルし、標識された分子を網羅的に同定し解析することができる。そこで、GD3-positiveアストロサイトのGD3を標的として、EMARS-MS解析を行った結果、GD3近傍に存在する分子としてPDGFRα遺伝子が同定された。PDGFRαとガングリオシドの関係を検討した結果、GD3が細胞膜上に発現することによってPDGFRαが脂質ラフトに局在することが可能となり、これにより細胞に様々な炎症性シグナルを伝達することが明らかになった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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