研究領域 | グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態 |
研究課題/領域番号 |
16H01348
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
上野 太郎 東邦大学, 理学部, 講師 (30648267)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2018-03-31
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キーワード | グリア / 睡眠 / 加齢 |
研究実績の概要 |
CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集を駆使することにより、これまでにグリア細胞が関与すると思われる新規の睡眠覚醒制御遺伝子を2つ同定してきた。本研究課題では研究代表者が同定したこれら2つの遺伝子の解析を進めることにより、グリア細胞による睡眠覚醒ならびに体内時計の制御メカニズムを明らかにすることを目的とした。 グリア細胞特異的にCRISPR/Cas9を用いてゲノム編集を実施し、その影響を調べるために、GAL4/UASシステムを利用した組織特異的なCas9発現制御を試みた。gRNAを目的遺伝子のコーディング配列を挟み込む形で2ヶ所に設計し、gRNAをU6プロモーターにより全身に発現させ、GAL4依存的にCas9が発現することでゲノム編集が起こるように設計した。その後、Cas9の発現制御のみではリークにより組織特異的な制御が困難であることが判明した。そのため、gRNAの発現についてもUAS配列下に制御できる形に変更し、さらにgRNAを2ヶ所ではなく、4ヶ所に設計する形とすることでゲノム編集効率の改善を試みた。作成したgRNA発現プラスミドを、ショウジョウバエの初期胚にインジェクションを行い、トランスジェニックラインを作成した。加えて、UAS-Cas9のラインを、リークの多いものから、GAL4による発現制御が厳密に行われるラインに変更をし、UAS-gRNA; UAS-Cas9のダブルトランスジェニックラインを作成した。これにより、GAL4依存的にターゲット遺伝子のゲノム編集を行うことが可能なラインを準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた計画では、Cas9の発現制御のみで組織特異性を担保する予定だったが、組織特異性を上げるためにgRNAの発現についてもGAL4による発現制御をする方針に変更した。このため、トランスジェニックラインを再度作成することになり、当初予定よりは遅れが見られている。一方で、発現するgRNAの数を増やすことが可能となり、ゲノム編集効率についても改善することが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
作成したUAS-gRNA; UAS-Cas9のダブルトランスジェニックラインを利用して、組織特異的なゲノム編集を行う。これにより、これまでに見出した睡眠覚醒制御遺伝子の機能解析を進める。具体的には、加齢性の睡眠障害が起こるメカニズムについて、本遺伝子の解析を元に進める。
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