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2016 年度 実績報告書

脂肪酸代謝物と脂肪酸受容体群による包括的エネルギー代謝ネットワークの解明

公募研究

研究領域脂質クオリティが解き明かす生命現象
研究課題/領域番号 16H01355
研究機関東京農工大学

研究代表者

木村 郁夫  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80433689)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード長鎖脂肪酸 / 中鎖脂肪酸 / オメガ脂肪酸 / 脂肪酸受容体 / 肥満
研究実績の概要

本研究テーマは、新たに同定された腸内脂肪酸代謝物に関し、従来から我々の研究対象とする脂肪酸受容体群に対する親和性およびエネルギー代謝調節に与える分子メカニズムの証明を目的としている。近年、腸内細菌代謝酵素によりリノール酸から変換される新規脂肪酸代謝物HYAが見出されたが、我々は独自にこのHYAの長鎖脂肪酸受容体に対する親和性に着目し、各種脂肪酸受容体群強制発現細胞株を用い、GPR40に対する高親和性の証明を行った。そして、共同研究者らと共に腸内細菌と脂肪酸代謝物が関与する腸管バリア保護作用を明らかにした(Miyamoto et al. JBC 2015)。次なる展開として、本研究年度において、腸内細菌による脂肪酸代謝物群の長鎖脂肪酸受容体を介したエネルギー代謝に与える影響について検討を行った。結果、オメガ脂肪酸受容体であるGPR40、GPR120を介した血糖上昇抑制作用の分子メカニズムを明らかにした。さらにHYAの長期投与は高脂肪食誘導肥満に対して抵抗性を示した。現在、内因的な腸内細菌からのリノール酸-HYA変換が宿主側の恒常性維持に重要であるかを無菌マウスとノトバイオート実験により検討中である。また、我々の有するGPR40遺伝子欠損マウスやGPR1200遺伝子欠損マウス等を用いてHYAによる代謝機能改善効果について、同様の検討を行うことによって、HYAの作用標的受容体の特定とその分子メカニズムの確定を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

20種類程度の脂肪酸代謝物に関するリガンド-受容体親和性スクリーニングを完了させたことと、現在、焦点を当てて研究を進めているリノール酸、腸内細菌代謝脂肪酸HYAに関しても、in vivo 経口長期投与試験等により、その生体生理活性の絞り込みが完了したことによる。

今後の研究の推進方策

最終年度では、リガンドスクリーニングにより得られた脂肪酸代謝物群の中から、新たに生体エネルギー代謝機能に強く影響を及ぼす可能性のある脂肪酸代謝物の絞り込みを行う。
またHYAについては宿主側の生体生理機能への影響を明らかにするために無菌マウスやHYA変換酵素を有する腸内細菌のノトバイオート実験等の腸内細菌関連の解析をすすめると同時に長鎖脂肪酸受容体遺伝子欠損マウスを用いて、その生体側への分子シグナルの確定を行う。

備考

研究室のホームページ

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 図書 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Anti-Inflammatory and Insulin-Sensitizing Effects of Free Fatty Acid Receptors.2017

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto J, Kasubuchi M, Nakajima A, Kimura I
    • 雑誌名

      Handb Exp Pharmacol

      巻: 236 ページ: 221-231

    • DOI

      10.1007/164_2016_47

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The role of short-chain fatty acid in blood pressure regulation2016

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto J, Kasubuchi M, Nakajima A, Irie J, Itoh H, Kimura I
    • 雑誌名

      Curr Opin Nephrol Hypertens

      巻: 25 ページ: 379-383

    • DOI

      10.1097/MNH.0000000000000246

    • 査読あり
  • [学会発表] Gut microbiota and obesity2017

    • 著者名/発表者名
      I. Kimura
    • 学会等名
      5th Biennial Congress of the Asian Neurogastroenterology & Motility Association
    • 発表場所
      Osaka-fu, Osaka-shi, Osaka International Convention Center
    • 年月日
      2017-03-23 – 2017-03-24
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 腸内細菌代謝産物による宿主エネルギー制御機構2017

    • 著者名/発表者名
      木村 郁夫
    • 学会等名
      第51回糖尿病学の進歩
    • 発表場所
      京都府、京都市、国立京都国際会館
    • 年月日
      2017-02-17 – 2017-02-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 腸内細菌によるエネルギー代謝調節機構2016

    • 著者名/発表者名
      木村 郁夫
    • 学会等名
      第37回日本肥満学会
    • 発表場所
      東京都、江東区、東京ファッションビル
    • 年月日
      2016-10-07 – 2016-10-08
    • 招待講演
  • [学会発表] 腸内細菌代謝産物、短鎖脂肪酸と肥満2016

    • 著者名/発表者名
      木村 郁夫
    • 学会等名
      第63回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      神奈川県、川崎市、ミューザ川崎シンフォニーホール
    • 年月日
      2016-05-18 – 2016-05-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 食物繊維、腸内細菌、短鎖脂肪酸と宿主代謝制御2016

    • 著者名/発表者名
      木村 郁夫
    • 学会等名
      第89回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      京都府、京都市、国立京都国際会館
    • 年月日
      2016-04-21 – 2016-04-23
    • 招待講演
  • [図書] 実験医学(増刊号)Vol.35, No.2 腸内細菌叢を介した宿主エネルギー代謝と免疫制御機構‐糖尿病治療に向けて2017

    • 著者名/発表者名
      中島啓、 木村 郁夫
    • 総ページ数
      236ページ(p145-151)
    • 出版者
      羊土社
  • [図書] Diabetes Frontier. Vol. 27, No. 3 腸内環境のフロンティア2017

    • 著者名/発表者名
      木村郁夫、粕渕 真由、宮本 潤基
    • 総ページ数
      164ページ(p302-308)
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 最新医学. Vol. 71, No. 9 腸内細菌による宿主エネルギー代謝制御機構2017

    • 著者名/発表者名
      中島啓、宮路 茜、木村郁夫
    • 総ページ数
      150ページ(p1787-1794)
    • 出版者
      最新医学社
  • [図書] The Lipid. Vol. 27, No. 2 腸内細菌と短鎖脂肪酸2017

    • 著者名/発表者名
      宮本 潤基、粕渕 真由、長谷川 沙恵、木村 郁夫
    • 総ページ数
      84ページ(p32-39)
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 食品と開発. Vol. 51, No. 4 食由来腸内細菌代謝産物、短鎖脂肪酸の代謝制御機能2016

    • 著者名/発表者名
      木村 郁夫、長谷川 沙恵、粕渕 真由、宮本 潤基
    • 総ページ数
      104ページ(p8-10)
    • 出版者
      UBMメディア
  • [備考] 東京農工大学 木村研究室

    • URL

      http://web.tuat.ac.jp/~kimura/

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公開日: 2018-01-16  

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