研究領域 | 脂質クオリティが解き明かす生命現象 |
研究課題/領域番号 |
16H01360
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀬川 勝盛 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 寄附研究部門准教授 (20542971)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リン脂質 / P4型ATPase / ホスファチジルセリン / 細胞膜 |
研究実績の概要 |
リン脂質であるホスファチジルセリン(PtdSer)は通常、細胞膜の内層に限局するが様々な局面で細胞表面に露出され、細胞内外に多様なシグナルを伝達する。これまでに、PtdSerなどのアミノリン脂質を生体膜の外層から内層へ移層する酵素としてP4型ATPaseファミリーと呼ばれる膜タンパク質の一群が提唱されてきた。しかしながら、実際にPtdSerを含むアミノリン脂質を移層させる活性をもつものは、ファミリー内の限られたメンバーのみである。それでは、他の大部分のP4型ATPaseは何を基質にしているのであろうか。P4型ATPaseのファミリーメンバーの遺伝子欠損は、単独でヒト・マウス共に重篤な疾患を引き起こすことから、それぞれが独立した機能をもつことが考えられる。本申請では、まだ基質の明らかとなっていないP4型ATPaseの基質を同定することで、同定した脂質と遺伝子欠損マウスや患者でみられる病態がどのように関連するのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、申請書に記載したとおり、細胞膜に局在するP4型ATPaseのC末端にFLAGタグを付加し、HEK293T細胞に発現させ、その後抗FLAG抗体を用いて精製した。精製したタンパク質と種々の脂質をATP存在下で反応させ、脂質応答性のATPase活性の増大を評価した。その結果、いくつかのP4型ATPaseにおいて脂質応答性のATPase活性の増大が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載したとおり、各種P4型ATPaseファミリーをHEK293T細胞に発現させ、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降法にて精製した。総脂質としてマウス臓器からFolch法を用いて抽出し、精製したリコンビナントタンパク質と反応させた結果、いくつかのP4型ATPaseにおいて脂質応答性のATPase活性の増大が確認された。今後、その反応系における脂質濃度の妥当性などを含め検討すすめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
P4型ATPaseファミリーをHEK293T細胞に発現させ、抗FLAG抗体を用いた免疫沈降法にて精製し、いくつかのP4型ATPaseにおいて脂質応答性のATPase活性の増大が確認された。今後、その反応系における脂質濃度の妥当性などを含め、細胞と蛍光脂質アナログを用いた活性評価、生化学的な複合体の検討など各種検討をすすめる予定である。
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