公募研究
本研究では、様々な炎症反応・生体防御に重要な役割を担うマクロファージとHDLとの相互作用に注目した研究を行ってきた。マクロファージと、健常人HDLまたは動脈硬化症例HDLをインキュベーションさせた後、マクロファージから産生される脂質代謝物を解析した。包括的脂質代謝物解析によって、マクロファージから産生される強力な炎症性脂質LTB4は、健常人HDLを添加したときのみ低下することが明らかとなった。次にHDL-マクロファージ相互作用を観察すると、健常人HDLはマクロファージにクラスリン依存性エンドサイトーシスによって能動的に取り込まれ、その後活性化マクロファージで増加している5-LOを分解、また炎症収束に関わる12/15-LOを活性化することで、抗炎症・炎症収束作用を持つマクロファージを誘導することが明らかとなった。一方で、動脈硬化症例においては、エクソソームを由来とするLTB4産生酵素群がHDL上に存在し、HDL自身がde novoにLTB4を産生していることを見出した。この結果、マクロファージのエンドサイトーシスが阻害され、動脈硬化症例HDLはマクロファージに取り込まれなくなり、健常人HDLに見られる抗炎症・炎症収束作用が発揮できなくなることを明らかとした。本研究は、HDLから産生される生理活性脂質が周囲の細胞に影響を与えるという、新たな「HDL-細胞間相互作用」の存在を明らかにした。また本内容は “Novel mechanism of regulation of the 5-lipoxygenase/leukotriene B4 pathway by high-density lipoprotein in macrophages”として Scientific Report誌ならびに神戸大学プレスリリースとして発表され、本領域の推進に貢献することができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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