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2016 年度 実績報告書

微絨毛形成における細胞膜脂質の機能解析

公募研究

研究領域脂質クオリティが解き明かす生命現象
研究課題/領域番号 16H01362
研究機関九州大学

研究代表者

池ノ内 順一  九州大学, 理学研究院, 教授 (10500051)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード微絨毛 / 脂質 / アクチン細胞骨格 / スフィンゴミエリン / コレステロール
研究実績の概要

微絨毛は、単層上皮細胞のアピカル表面に見られる形質膜の突起構造である。微絨毛は、外界と細胞内との物質の交換に関わる表面積を拡大するという役割を果たす以外にも、様々なトランスポーターやチャネルが微絨毛に集積しており、細胞内シグナル情報伝達の場として機能する細胞膜ドメインであると考えられている。微絨毛はアクチンフィラメントの束に裏打ちされた細胞膜構造である。培養上皮細胞の微絨毛は、12~15分のサイクルで伸長と退縮を繰り返す動的な挙動を示すのに対し、内耳の有毛細胞の微絨毛である不動毛は、常に長さが一定に保たれている。微絨毛の形成や退縮を制御するメカニズムには、多くの不明な点が残されている。微絨毛の形成に必須のタンパク質として、これまでにアクチンフィラメントと形質膜を繋ぐリンカータンパク質であるERM(Ezrin/ Radixin/ Moesin)ファミリーのタンパク質、アクチンフィラメント同士を束化するFimbrinやVillinが報告されている。私たちの先行研究において、上述のタンパク質だけでなく、微絨毛の形質膜外層に集積しているスフィンゴミエリンが微絨毛の維持に必須であることが明らかになった。本研究提案では、微絨毛の先端を構成する分子群が、微絨毛が新たに形成される際の「核」として機能するのではないかと考え、微絨毛の形成メカニズムを解明することを目的として、微絨毛の先端の分子構築の解明とその機能解析を行った。スフィンゴミエリンを多く含む脂質二分子膜にはコレステロールが集積しやすいことが人工膜を用いた研究から明らかになっているため、微絨毛におけるコレステロールの分布を観察した。その結果、微絨毛の先端にコレステロールが集積していることを見出した。さらに微絨毛に存在する様々な膜タンパク質の局在を観察したところ、機能未知の5回膜貫通タンパク質が微絨毛先端に位置することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微絨毛先端に局在する脂質と膜タンパク質を同定した。これらが微絨毛形成の核として機能するかについて、引き続き検討を進めていきたい。

今後の研究の推進方策

微絨毛の先端に局在するコレステロールと今回見出した膜タンパク質が微絨毛の形成に関与するのかについて検証を行う。具体的には、細胞内でのコレステロールの生合成を阻害、もしくは形質膜外層のコレステロールを除去した結果、微絨毛が減少するか否か検討を行う。また、微絨毛の先端に局在する分子群を網羅的に同定する方法についても検討を進める予定である。

備考

研究代表者の研究室の研究成果及び成果報告に関するホームページ

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Membrane bleb: A seesaw game of two small GTPases2016

    • 著者名/発表者名
      Ikenouchi J, Aoki K
    • 雑誌名

      Small GTPases

      巻: 17 ページ: 1-5

    • DOI

      10.1080/21541248.2016.1199266

  • [雑誌論文] How do cells sense actin cortex-free membrane?2016

    • 著者名/発表者名
      Ikenouchi J
    • 雑誌名

      Cell Cycle

      巻: 15 ページ: 2687-8

    • DOI

      10.1080/15384101.2016.1204860

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DAAM1 stabilizes epithelial junctions by restraining WAVE complex-dependent lateral membrane motility2016

    • 著者名/発表者名
      Nishimura T, Ito S, Saito H, Hiver S, Shigetomi K, Ikenouchi J, Takeichi M.
    • 雑誌名

      J Cell Biol.

      巻: 215 ページ: 559-573

    • DOI

      10.1083/jcb.201603107

    • 査読あり
  • [学会発表] Dynamic interplay between plasma membrane and actin cytoskeleton2016

    • 著者名/発表者名
      Aoki K, Ikenouchi J
    • 学会等名
      ASCB 2016 annual meeting
    • 発表場所
      San Francisco
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-05
    • 国際学会
  • [学会発表] 上皮細胞の細胞膜構造形成における細胞膜脂質の役割2016

    • 著者名/発表者名
      池ノ内順一
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-09-27 – 2016-09-27
    • 招待講演
  • [学会発表] タイトジャンクション形成における細胞膜脂質の関与2016

    • 著者名/発表者名
      重富健太, 池ノ内順一
    • 学会等名
      第68回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-06-17 – 2016-06-17
  • [学会発表] Local reassembly of the actin cortex in membrane blebbing2016

    • 著者名/発表者名
      青木佳南,前田史世,長迫智也,望月優輝,内田誠一,池ノ内順一
    • 学会等名
      第68回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-06-17 – 2016-06-17
    • 招待講演
  • [図書] 細胞膜における脂質の動的な振る舞い,「生物の科学 遺伝」2017

    • 著者名/発表者名
      池ノ内順一
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      エヌ・ティー・エス
  • [備考] 九州大学理学研究院生物科学部門代謝生理学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.biology.kyushu-u.ac.jp/~taisha/

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公開日: 2018-01-16  

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