公募研究
海馬錐体細胞において、グルタミン酸作動性の興奮性シナプス入力部位である個々の樹状突起棘(スパイン)は記憶に重要な役割を果たしている。統合失調症等の一部の神経疾患では海馬でのスパインの萎縮やスパイン数の減少等に伴って進行性の記憶障害が生じるが、その1つの原因としてミトコンドリアの障害によるATPの産生低下、ひいてはシナプスでの熱産生の低下が関与する可能性がある。しかしATP産生や熱産生の低下がどのようにスパインの活動不全を起こすのかは未だに明らかにされていない。本研究は、統合失調症様の症状を誘発させる薬物の投与や遺伝子の操作によって個々のスパインの温度、Ca2+活動、ATP産生がどのように変化するのかを明らかにし、記憶障害の発現・進行に関わる神経局所温度―活動連関を解明することを目的としている。29年度はシナプスの温度、Ca2+活動、ATP産生の経時変化をイメージングで測定することを可能にする蛍光プローブの改良を行った。シナプス内のCa2+活動を高精度に評価できるように蛍光Ca2+プローブの明るさと感度の改善を進めた結果、高輝度でG-CaMP7.09より格段に高感度なCa2+プローブであるG-CaMP7.09改良体を開発することに成功した。開発したCa2+プローブは、シナプス病態の経時的な進行を明らかにすべく既存の温度プローブ、ATPプローブとともに神経標本に適用し、長時間培養下での蛍光イメージングを行った。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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