公募研究
NLRP3の恒常活性型変異は、発熱や炎症を繰り返すクリオピリン周期熱症候群(CAPS)と呼ばれる自己炎症症候群を引き起こす。そこで、CAPSのNLRP3変異であるL353PおよびD303Nを薬剤誘導性に発現するマクロファージ細胞株を作製し、温度変化による影響を検討した。どちらの変異NLRP3発現細胞でも、低温環境によりインフラマソーム活性化が起こり、IL-1β産生や細胞死が誘導されて炎症反応の増強が認められた。一方、通常の危険シグナルであるNanosilicaやNigericinによるインフラマソーム活性化は、低温環境により減弱された。さらに、変異NLRP3発現細胞における低温環境によるインフラマソーム活性化は、EGTA やBAPTA-AMにより抑制されたことからカルシウム依存性が示唆されたが、TRPA1やTRPV4の阻害薬では抑制されなかった。また、飽和脂肪酸(パルミチン酸・ステアリン酸)によりマクロファージ細胞質内に結晶形成が起こり、リソソーム傷害を介したインフラマソームの活性化が引き起こされることを見出した。この結晶形成およびインフラマソーム活性化は、不飽和脂肪酸(オレイン酸)によって阻害されたことから、飽和・不飽和脂肪酸の不均衡がこの反応を制御していることが示された。また、低温環境では、この脂肪酸不均衡による結晶形成がさらに促進され、インフラマソーム活性化によるIL-1β産生も増強されることが明らかになった。以上の結果から、無菌性炎症の中心経路であるインフラマソームの活性化が温度変化によって影響を受ける分子機構の一部を明らかにすることができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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