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2016 年度 実績報告書

多能性誘導過程におけるゲノム恒常性

公募研究

研究領域染色体オーケストレーションシステム
研究課題/領域番号 16H01412
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

坪内 知美  基礎生物学研究所, 幹細胞生物学研究室, 准教授 (70754505)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード多能性誘導 / DNA損傷
研究実績の概要

細胞の個性を生み出すのは「可逆的な」核内制御であり、分化した細胞においても発生初期胚に特有の性質である多能性(全ての細胞種に分化する能力)を人工的に誘導することができる。こうして得られた細胞は、再生医療へ応用に向け盛んに研究されている。しかし一方で、多能性誘導過程でゲノム上に損傷が生じる可能性が示唆されており、その分子的要因の特定が叫ばれている。
本研究では、より短時間で多能性誘導が観察される細胞融合の実験系をモデルに、多能性誘導過程における核内ダイナミックスとゲノム恒常性の関係を明らかにすることを目的としている。iPS法による多能性誘導過程では、DNA損傷シグナルが上昇することが知られているが、細胞融合系でも同様のDNA損傷シグナルを観察している。
H28年度には、融合細胞の核内ダイナミックスを顕微鏡下で継続して追跡する系の確立を目指した。一般的に用いられる融合法では、融合しない細胞も多く残るために顕微鏡下での追跡は困難である。これを克服するために、融合細胞をビーズにより回収することを試みた。融合直後の細胞は不安定であるため、4時間静置したのちに、融合していない血球を丁寧に洗浄し、血球特異的な表面抗原に結合する抗体ビーズを用いることで融合していないES細胞を排除することで顕微鏡下での融合細胞の特定を可能にした。これにより、融合後8時間目からイメジングが可能になった。また、融合細胞を見失わずに数日間追跡する培養方法と画像取得条件を検討、確立した。また、血球核内における核内動態を追跡するために、CRISPRを用いた蛍光タグ導入用のプラスミドの作成を行った。またその一部に関しては実際に血球に導入しクローンを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

従来の方法では、薬剤を用いて3日後に融合細胞を単離することはできたが、融合後当日からの追跡は困難であった。我々はこれを可能にすることで多能性誘導の初期過程を初めて追跡できるようになった。次年度以降の研究計画に関しても準備が進んでいる。

今後の研究の推進方策

以下を実験計画とする。
1.多能性誘導過程における核内動態の解析
前年度はES細胞において複数の異なるDNA損傷マーカーに蛍光タグを導入し、ライブイメジングに適したマーカーを検討した。本年度は、これらのDNA損傷マーカーやDNA複製マーカーを血球細胞内で蛍光標識し、これらのキネティックスを追跡する。これまでに行った定量PCRの結果によると、融合後2-3日程度で確認される多能性因子の発現レベルはヒトES細胞と比較して非常に低い。従って、ライブイメジングでDNA損傷マーカーを追跡した融合細胞は、数日後に固定し、抗体染色もしくはRNA-FISHを用いて検出感度を上げ、個々の細胞における多能性因子の発現の有無を特定する。
2.融合直後からの連続した追跡を可能にするための実験系の改良
現在用いている実験系では、最短でも融合後6時間目からの追跡しかできない。これを回避するために、電解集中型細胞融合法のデバイスを導入するため引き続き実験系の改良を行う。

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公開日: 2018-01-16  

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