本研究は、時間軸を含めた多次元画像の輝度情報から、観測時空間内に存在する物体の形状および運動を数値的に解析する技術を開発することを目標とする。本研究課題では、コンピュータービジョンの最新の手法を導入することで、多次元輝度情報から求めたボクセルベースの詳細な形状情報・物理量を基にして、物体の抽出(抽象化)を行い、物体としての構造情報・運動情報を推定する技術を開発することを目的とする。申請者自身の研究対象である、神経成長円錐の運動解析、細胞内分子のトラフィック解析、神経軸索投射のトラッキング、膜電位・カルシウムの移動波の伝搬特性解析を具体例として選び、それぞれにおいて回転運動・渦巻き構造を検出することを目指して開発を行う。同時に、本領域内の班員と共同し、研究者のニーズに合った汎用性の高い画像解析手法の開発を行い、画像技術の標準化と領域外への発信に貢献することを目指す。本年度の研究では、画像解析技術の開発に関しては、1)微分干渉法による3次元ライブセルイメージング技術、2)物体の局所的な形状を識別する技術、3)物体の並進・回転運動を数値化して解析する技術の開発に取り組み、技術の基本的な部分を開発することに成功した。さらに、開発技術の個別事象への適用による技術の有効性の検証に関しては、3次元コラーゲンゲル培養下で起きる神経成長円錐フィロポディアの自律的右ねじ回転運動、および、2次元培養下での神経突起の右旋回運動を数値化することに成功した。
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