研究領域 | 共鳴誘導で革新するバイオイメージング |
研究課題/領域番号 |
16H01430
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗田 多喜夫 広島大学, 工学研究院, 教授 (10356941)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機械学習 / 画像認識 / 領域分割 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
バイオイメージング技術の向上により,質的に新しい生物画像を処理する必要性が高まっている.しかし,観測対象や計測手法毎に試行錯誤的に新たな生物画像処理手法を開発することは容易ではない.最近では,この問題に対して,正解のラベルが付与された訓練用のデータからモデルのパラメータを自動的に推定する機械学習を利用した手法の有効性が示されている.特に,画像を直接入力としてモデルのパラメータを推定する深層学習を用いたアプローチが注目されている.本研究では,機械学習を用いて構成した局所領域の識別手法とそれらの結果から生物画像を領域分割する手法を開発している.本年度は,テクスチャ特徴としてtextonに基づいて局所領域を記述する手法を開発し,それらをランダムフォレストに基づく識別手法を用いて識別する手法を開発し,iPS細胞画像の識別課題に適用した.この成果を医療画像解析に関する代表的な国際会議(MICCAI2016)で発表した.また,画像認識タスクを学習したConvolution Neural Network (CNN)の中間層の出力値を画素毎に統合したhypercolumnと呼ばれる特徴ベクトルを抽出し,その特徴ベクトルを領域分割に利用した.領域分割手法としては,領域間の隣接関係を領域隣接グラフ(RAG)で表現し,領域間の隣接関係に関する制約条件を満たしつつ領域統合する手法を利用した.この結果も国際会議(FG2017)で発表した.その他,腰部脊椎や頚椎の画像から骨粗鬆症を診断する手法,非線形判別分析から導出した判別カーネルを用いた識別手法,内視鏡画像の識別手法について論文誌や国際会議で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に予定していた深層学習を用いた局所領域識別の基礎実験だけでなく,平成29年度に予定していたテクスチャ特徴とランダムフォレストを組み合わせた手法と深層学習で得られた特徴ベクトル(hypercolumn)を領域分割に利用する手法を前倒しで開発することができた.特に,テクスチャ特徴とランダムフォレストを組み合わせた手法についは,医療画像解析に関する代表的な国際会議でオーラル発表を行うことができた.また,平成29年度に予定していた,領域分割手法の評価も行い,hypercolumnを用いた領域識別では,正規化カットは必ずしも良い結果が得られないが領域間の隣接関係を領域隣接グラフ(RAG)で表現し,領域間の隣接関係に関する制約条件を満たしつつ領域統合する手法は有向に働くことも確認できた.この意味で研究の進捗は順調であると言える.しかし,各局所領域の識別結果から事後確率を推定し,判別カーネルを用いて領域間の類似度を定義し,それを領域分割に利用する手法については未着手である.
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今後の研究の推進方策 |
予定していた研究課題の内,各局所領域の識別結果から事後確率を推定し,判別カーネルを用いて領域間の類似度を定義し,それを領域の統合に利用する手法以外は,ほぼ完了したので,平成29年度は,領域間の類似度として判別カーネルを用いて領域統合する手法の開発とこれまでに開発した手法の精緻化に注力する.
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