研究実績の概要 |
H28年度に合成したLBDに対する親和性が高いADA誘導体は、IP3と競合し難いためセンサーに使用出来ないことが、F-ADAを使った我々の先行研究で明らかになっている。そこでセンサーとして利用するために、親和性を低下させるためにB-ADAのアデニンを除去したB-LLと、B-ADAのアデニンをイミダゾールに置換したB-IMPを有機合成した。両化合物ともCFP-LBD-mSA-YFPへの作用によるFRETの増大による蛍光比の変化を起こした。この蛍光比の変化はビオチン化リガンドの除去によって増大し、IP3の添加によって減少したことから、CFLAを応用したtetheredリガンド型のIP3センサーが実現可能であることが示された。さらに3種類ののビオチンリガンドにおけるビオチン部とリガンド部のリンカー長を伸ばしたB-ADA-C8, B-IMP-C8, B-LL-C8を作成して反応を確認した。これらの知見に基づいて、蛍光分子を付加したビオチンリガンド(FBリガンド)の合成を試みた。 H28年度に作成したペプチドリガンドを使ったtetheredリガンド型IP3センサーが機能しなかった。そこでin vivo IP3イメージングに利用出来るgenetically encoded IP3 sensor(GEIS)としてLIBRA型IP3センサーのリンカー最適化と、蛍光タンパク質の円順列変異体の利用によって、蛍光変化率を従来の約3倍に改善することに成功した。 またLBD分子内へ蛍光タンパク質やリガンドペプチドを挿入したIP3センサーの開発を試みた。現時点でこれらはセンサーとして機能していないが、リンカーの最適化や円順列変異体の利用によって機能させる可能性を検討する。
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