本年度は細胞核と細胞膜のセグメンテーションの研究に取り組んだ。細胞内画像処理ではEncoder-Decoder Convolutional Neural Networkの一種であるU-netという方法の有効性が示されている。U-netはEncoder部分の特徴量をDecorder部分でも再利用することにより、精度を高める方法である。しかし、形状が異なる細胞核と細胞膜を1つのU-netを用いて同時にセグメンテーションする場合、どうしても精度が低下してしまう。そこで、U-netのDecoder部分を改良し、細胞膜、細胞核、背景の3つの2クラス識別を行ってから3クラスのセグメンテーションを行うことににした。これにより、セグメンテーションの精度を改良した。 また、Generative Adversarial Networkの発展版であるpix2pixという方法を基に細胞核と細胞膜のセグメンテーションを行う研究も行った。pix2pixはGeneratorとDiscriminatorを競い合わせながら精度を高める方法であり、画像間の変換を学習することができる。顕微鏡画像と専門家が作成したセグメンテーション結果をpix2pixで学習させれば、画像からセグメンテーション結果への変換を学習できることになる。オリジナルのpix2pixを用いて複数解像度を用い、それらの結果を統合する方法や、生成器と識別器に工夫を加えることによりセグメンテーションの精度を高めた。
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