今年度は、赤色蛍光タンパク質であるmCherryと色素タンパク質であるUltramarineのキメラを作製し、これを鋳型にして、Error-prone PCRによるランダム変異導入により、吸収はあるが量子収率がほぼ0の無蛍光赤色蛍光タンパク質(ShadowR)の開発を進めて来た。作製したキメラ分子は凝集しやすく、また大腸菌内でも封入体に入り易かったため、まずは、キメラ分子の親水性を高くすることでダイマー化や凝集が起こりにくくなるようにすることを目指した。具体的には、キメラ分子のアミノ酸の内、側鎖が外側を向いているアミノ酸をターゲットにして飽和変異導入を行った。変異体の内、吸収の大きいものを大腸菌ライブラリーよりピックアップし、これらのシークエンスを調べた。シークエンスを行った変異体の内、アミノ酸が元のよりもより親水性のアミノ酸に置換されているものをピックアップした。このような操作を数十か所のアミノ酸について行うことにより親水性の高い変異体(ShadowR)を作製することに成功した。
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