研究領域 | 共鳴誘導で革新するバイオイメージング |
研究課題/領域番号 |
16H01438
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
林 康紀 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (90466037)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シナプス可塑性 / 光増感法 / コフィリン / LOVドメイン / CREB |
研究実績の概要 |
本研究ではシナプス可塑性が中枢神経系で起こる時間枠を解明するため、これまでの独自の成果に基づき、LTPの分子メカニズムを応用したLTP操作方法を開発する。LTPを起こしたシナプスではアクチンが重合しシナプスの大きさが拡大すること、この時コフィリンが高密度でアクチン線維上に結合する事を示した。そこでコフィリンを何らかの形で不活化することができればLTPを解除できるのではないかという発想に至った。この目的のため、我々はchromophore-assisted light inactivation (CALI)を用い、光にてコフィリンを不活化することを試みた。その結果、その結果、期待通り一旦成立したLTPを解除することができた。一方、樹状突起スパインの形態的LTP (sLTP)に関しても同様な結果を得ており、この場合、30分まではsLTPが解除されるが、50分の時点ではもはや解除されない。つまり、この手法を用いることで、LTP成立後一定時間のそれを解除できるが、その後起こるLTPには影響を与えないことが見出された。 一方、特定の細胞でLTPを強化するため、光活性化CREBならびにその上流分子である光活性化CaMKIVを作成することを試みている。CREBはLTPのうち、特に後期の新規タンパク質合成な相に関与し、それを過剰発現させることで、優先的にLTPを引き起こしやすくなると期待される。このため、植物屈光性に関与するタンパク質ドメインであるLOVドメインを用いて光活性化CREBおよびCaMKIVを作成することを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ仮説通りの結果が得られ、また新しいアプローチも開発できつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCALIによるLTPの解除を用いた、特に記憶の長期固定化におけるNMDA受容体依存性のシナプス可塑性がいつどこで起こるかを解明していくとともに、LOVドメインを用いたCREBならびにその上流分子の光制御法を開発していく。
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