公募研究
本研究は、カブトムシの角が近縁種間で極めて多様な3D形態をとることに着目し、3D形態の変化を生む遺伝子の特定、発現の量・位置の違いを定量、さらに、効率的に遺伝子導入を行う技術を開発する。これらの情報・技術を応用することで、カブトムシの角に任意の3D形態をデザインし、作り上げることが可能になる。本新学術領域では、カブトムシ角の3D折り畳みのロジック解明を大きな目的としているが、申請者のプロジェクトは、折り畳みの分子的な基盤を提供するとともに、マクロなロジック(仮説)の実験による証明にも必須となるはずである。これまでカブトムシにおいてin vivoエレクトロポレーションと体細胞トランスジェネシスを利用した遺伝子導入(EMST)法の確立を試みてきたが、これまでに使用してきたプロモーターでは、マーカーとして用いた緑色蛍光タンパク質(EGFP)の発現が弱いという問題点が生じていた。そこで、カブトムシにおいてより強く発現するプロモーターの探索を行った。これまでに行ったRNA-seqデータを利用して、高発現遺伝子を検索してプロモーターに使用する候補遺伝子を決定した。次に、決定した遺伝子について5'RACEを行い、転写開始点を決定してプロモーター領域の推定を行った。続いて、HiFi DNA assembly法を用い、クローニングしたプロモーターの下流にマーカー遺伝子 (EGFP) をつないだベクターを作製した。作製したベクターを用いて、カブトムシ幼虫において高発現をもたらすプロモーターの検討を行うとともに、EMST法の条件検討を行った。その結果、EGFPの強い発現が確認され、これまで困難であった3齢初期幼虫における遺伝子導入に成功した。
2: おおむね順調に進展している
研究を遂行する上で重大な問題点などはなく、当初の計画通り概ね順調に進展している。
研究遂行上の重大な問題点は現時点ではないため、予定通り研究計画を進める予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Sci. Rep.
巻: 6 ページ: 29337
10.1038/srep29337