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2016 年度 実績報告書

維管束を介したサイトカイニン情報の長距離伝播の仕組みと役割

公募研究

研究領域植物の成長可塑性を支える環境認識と記憶の自律分散型統御システム
研究課題/領域番号 16H01477
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

木羽 隆敏  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (20532097)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード長距離シグナリング / サイトカイニン / 道管
研究実績の概要

本研究では根から地上部への道管を介したサイトカイニンの長距離輸送に注目し、(i)根における道管への積み込みの分子メカニズムとその制御と、(ii)根から地上部へのサイトカイニン長距離輸送の制御とその生理的役割の解明を目指した。
(i)我々が最近同定したサイトカイニンの道管への積み込みを司る因子ABCG14の生化学的特性の解析を中心に行った。大腸菌、酵母、昆虫細胞を用いたアッセイ系では活性を検出することはできなかったが、T87シロイヌナズナ培養細胞において誘導発現系を構築し、ABCG14がサイトカイニンの前駆体の一種であるリボシド型を排出する活性をもつことを強く示唆する結果を得た。現在in vitroタンパク質合成系を用いて、ABCG14の輸送特性を詳細に解析する系を構築中である。またABCG14機能の分子生物学的解析のための、ABCG14の発現組織や発現量を変化させた形質転換体の作製を完了した。
(ii)道管液中の主要なサイトカイニン分子種は前駆体tZRであり、古くからこれが根から地上部へのシグナルであると考えられてきた。道管液からは活性型であるtZも少量検出されるが、その役割については不明であった。我々は、サイトカイニン代謝系の変異体(log, ipt)と接ぎ木を組み合わせることにより、根由来のtZとtZRの生理的役割を区別できる実験系を構築し、tZも根から地上部へのシグナルとして働くこと、根由来のtZとtZRは異なった生理的役割を持つことを明らかにした。根由来のtZは葉の成長促進、tZRは茎頂分裂組織の活性化に作用する。サイトカイニン分子種の使い分けは(tZ/tZR, iP型/tZ型)、環境変化に応じた個体統御システムを構成する重要なメカニズムの1つであると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ABCG14機能の分子生物学的解析に用いるABCG14の発現組織や発現量を変化させた形質転換体の確立がやや遅れているが、それ以外は予定通りに進展している。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、(i)では無細胞系で作製したABCG14を含む膜小胞を用いてABCG14の輸送特性の詳細な解析を行える系を確立し、輸送基質やカイネティックスなどの詳細な解析を中心に進める。(ii)では、昨年度見いだした、長距離輸送されたtZの生理的役割について、論文化を目指す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Improvement of Arabidopsis biomass and cold-, drought-, and salinity-stress tolerance by modified circadian clock-associated PSEUDO-RESPONSE REGULATORs2016

    • 著者名/発表者名
      Norihito Nakamichi, Saori Takao, Toru Kudo, Takatoshi Kiba, Yin Wang, Toshinori Kinoshita, and Hitoshi Sakakibara
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol.

      巻: 57 ページ: 1085-1097

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/pcp/pcw057

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] サイトカイニンの生合成と輸送2016

    • 著者名/発表者名
      木羽隆敏, 榊原均
    • 雑誌名

      植物の生長調節

      巻: 51 ページ: 24-29

    • DOI

      http://doi.org/10.18978/jscrp.51.1_24

  • [雑誌論文] C4モデル植物Staria viridisの研究ツールの整備2016

    • 著者名/発表者名
      榊原均, 木羽隆敏
    • 雑誌名

      植物科学の最前線(BSJ-Review)

      巻: 7 ページ: 42-46

  • [雑誌論文] Plant nitrogen acquisition under low availability: regulation of uptake and root architecture2016

    • 著者名/発表者名
      Takatoshi Kiba and Anne Krapp
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol.

      巻: 57 ページ: 707-714

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/pcp/pcw052

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 窒素栄養不足環境での生存戦略-吸収の効率化と制御のメカニズム-,2017

    • 著者名/発表者名
      木羽隆敏
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会シンポジウム-植物の栄養研究の新局面-
    • 発表場所
      鹿児島大学・鹿児島県
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-16
  • [学会発表] Sugar-induced de novo cytokinin biosynthesis enhances Arabidopsis growth in response to elevated carbon availability2016

    • 著者名/発表者名
      Takatoshi Kiba, Mikiko Kojima, and Hitoshi Sakakibara
    • 学会等名
      CSHasia conference on Latest Advances in Plant Development & Environmental Response
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場・兵庫県
    • 年月日
      2016-12-01 – 2016-12-01
    • 国際学会
  • [学会発表] Carbon availability controls shoot growth through sugar-induced cytokinin biosynthesis and transport in Arabidopsis2016

    • 著者名/発表者名
      Takatoshi Kiba, Mikiko Kojima, and Hitoshi Sakakibara
    • 学会等名
      International Plant Growth Substances Association meeting
    • 発表場所
      Toronto・CANADA
    • 年月日
      2016-06-24 – 2016-06-24
    • 国際学会
  • [図書] Methods in Molecular Biology, Environmental Responses in Plants2016

    • 著者名/発表者名
      Takatoshi Kiba and Rossana Henriques
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      Springer
  • [備考]

    • URL

      http://pps.riken.jp/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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