研究領域 | 共感性の進化・神経基盤 |
研究課題/領域番号 |
16H01479
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 晋務 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (70734797)
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研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2018-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 欺き / 他者の心的状態の理解 / 磁気共鳴画像法 |
研究実績の概要 |
欺き行為は,自己と他者の心的状態の差異を理解し,他者の行動を予測することが必要とされ,共感性において必要とされる他者との協力や相互理解に必要な能力と共通性を多く有する。欺きは他者を陥れ,自分の利益を満たす行為と理解されがちであるが,他者を気遣う嘘(White lie)や社交辞 令など社交的な目的から行われることも多く,ヒトのコミュニケーションを考える上で重要な行為である。自閉症スペクトラム障害(ASD)は社会的相互交渉やコミュニケーション、興味や行動の限局という状態像で特徴付けられ、共感性や欺き行為の困難さが指摘されている。 本研究では、社会性の質的な障害を有するASD児を対象として、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による機能的結合の検討に加え、白質神経繊維の構造的な結合の検討から、ASD児の他者の心的状態の理解、利用の能力に関する神経ネットワークにおける特異性について解明することを目的とする。平成28年度においては、ASD児、定型発達児それぞれ50名から欺き課題遂行時における神経活動についてデータ取得を行った。また、行動、心理データとして、認知機能やASDの重症度、共感性に関する尺度を取得した。 平成29年度の予定として、得られた脳機能画像データの解析を行うとともに、行動、心理データとの関連に関する郡内比較や、ASDと定型発達群との比較から、ASD児に特異的な欺きに関連する神経基盤について検討を行う。得られた結果は、順次、国内外の学会にて発表を行うとともに、論文化し、国際的な学会誌への投稿を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度では、ASD児における欺き行為の機能的神経ネットワークの解明を目的とし、ASD、定型発達児各30名から脳機能データ、及び行動、心理データの取得を予定していたが、当初の予定を上回る50名からデータを取得した。また、平成29年度に行う構造的な神経ネットワークの検討に必要な拡散テンソル画像も合わせて取得することができたため、効率的なデータ取得が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、29年度に拡散テンソル画像のデータ取得を行う予定であったが、28年度の機能的神経ネットワークに関するデータ収集時に、拡散テンソル画像も合わせてデータ取得をすることができた。一方で、28年度に実施予定であった機能的ネットワーク解析については、データ取得に時間がかかったため、平成29年度に、拡散テンソル画像の解析と合わせて実施する予定である。 得られた成果については、国内、国際学会で報告するとともに、論文化を行い、国際的な学術誌への投稿を行う。
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