研究領域 | 共感性の進化・神経基盤 |
研究課題/領域番号 |
16H01492
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
正水 芳人 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90608530)
|
研究期間 (年度) |
2016-06-30 – 2018-03-31
|
キーワード | 向社会行動 / マーモセット / 2光子カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
向社会行動は、外的な報酬を求めずに、自分が労力を費やし、他者に利益を与える行動である。このような行動は、ヒトの社会の基盤になっていると考えられている。これまで、向社会行動をとる個体は、ヒトやチンパンジーだけであると考えられてきた。しかし最近、社会性があり家族全員で子育てをおこなうことが知られている小型霊長類のコモン・マーモセットも、レバーを引いても自分は報酬を得られないが、他者に報酬を与えることができるという向社会行動課題をおこなうことが明らかにされた。本研究では、コモン・マーモセットが向社会行動をおこなっている際の大脳新皮質での神経活動を解明することを目指す。本申請者は、これまでの研究で、アデノ随伴ウイルスを用いて、蛍光カルシウムセンサーを、コモン・マーモセットの大脳新皮質に遺伝子導入する系を確立し、さらに2光子励起顕微鏡下、麻酔下、単一細胞レベルで多細胞の神経活動を長期間リアルタイムに観察する系を確立した。これらの系を用いて、課題実行時にin vivo 2光子カルシウムイメージングをおこなうためには、2光子励起顕微鏡下、頭部と胴体を固定した状態で、課題をおこなわせる必要がある。本年度は、まず頭部と胴体を固定した状態で、手を使ってレバーを引くと報酬を得ることができる課題をおこなわせる系を確立した。さらに、課題実行時に、顕微鏡下で大脳新皮質での神経活動を計測する系を確立した。また、飼育ケージ内で向社会行動課題を行わせるための装置も開発した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、課題実行時のマーモセットでin vivo 2光子カルシウムイメージングをおこなう系を確立した。さらに、飼育ケージ内で向社会行動課題をおこなわせるための装置も開発した。従って、本研究は順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
まず飼育ケージ内で向社会行動課題をおこなう個体を選抜する。さらにその個体が向社会行動をおこなっている際の大脳新皮質での神経活動を、in vivo2光子カルシウムイメージングによって解明することを目指す。
|